いざ「陸上人生の第3章」へ 箱根駅伝「山の神」神野大地が選手兼監督としてニューイヤー駅伝出場を目指すことを決めたワケ (3ページ目)
【選手は陸上に関わる仕事で収益を上げていくことを目指す】
チームの運営を支えるゼネラルマネージャーの髙木聖也。神野の青学大時代の1学年先輩で、陸上部の主務を務めていた photo by Murakami Shogo 社業は、専門的な業種ゆえ、他の実業団チームのように出社の義務はない。その代わりに陸上に関わる仕事をこなして収益を上げていくことを目指す。例えば、すでにランニング教室を開催予定で、そのプログラムや練習内容を考え、マニュアル化する。また、YouTubeでの動画配信も行なっており、選手にその企画を提出してもらっている。さらに、市民ランナー向けのパーソナルコーチも予定しており、相談が来た時にすぐに対応できるように想定問答を準備している。
「(実業団の選手がやる)社業といっても、なかには座っているだけだったりするケースもあるでしょう。だったら、その時間を有効に使ってプレゼンをしたり、企画を立案したりすることは、引退後に何かの仕事をするうえで大事なことだと思うんです。陸上を通してそういうスキルを学んでほしいと思っています」
メディア戦略も積極的だ。
「選手には、単に結果を発信するだけではなく、日常の取り組みや自分の気持ちについても包み隠さず発信してほしいと伝えています。それを継続することで少しでもいろんな人に興味をもってもらい、ファンになってもらう。僕が今もこうして多くの人に支えてもらっているのは、いい時も悪い時もSNSを通して自分の言葉を皆さんに伝えてきたからだと思うんです。厳しい声もありますが、そういう反応があるのも、自分を見てもらえているからこそ。フォロワー数とかも把握をしていければと考えています」
陸上界でもSNSで人気を集める若いインフルエンサーの影響力が増しているが、そこに負けられない意識もある。また、一般的な知名度を獲得するにはオールドメディアでの露出も欠かせない。ただ、そこで取り上げられるには、結果はもちろん、選手の個性や言葉が重要になってくる。今後はSNSとの両輪でどう認知度を上げていくのかが課題だろう。
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