花田駅伝監督自らハガキ執筆で返礼 箱根駅伝制覇を狙う早大の「クラファン」への予想を上回る反応と成果 (2ページ目)
【2度のクラファンは着実に強化としての成果に】
新年度入学予定の鈴木に象徴されるように戦力強化は順調に進んでいる photo by Wada Satoshi 第一弾のクラウドファンディングの成果もあって、まだ頂点には届かないものの、早大の強さが安定してきた印象がある。
今春に鈴木琉胤(八千代松陰高・千葉)、佐々木哲(佐久長聖高・長野)ら強力なルーキーが入学するように、スカウティングもうまくいっており、好循環が生まれている。いよいよ優勝を目指す土台ができてきた。そのタイミングでの第二弾。支援者が寄せる期待も、第一弾とはまた少し違ってきているようだ。
「個人の強化が最終的にはチームの強化につながるので、そのスタンス自体は変わっていないんですけど、前回は"チームの立て直し"というところで、皆さんが応援してくださり、寄付をいただいた部分が大きかったんじゃないかと思います。
第二弾に関しては、箱根駅伝の成績がちょっと上がってきたことで、皆さんも"優勝"を意識されて寄付してくださった方が多いように思います」
実際にチームに寄せられるメッセージには『箱根で優勝を期待しています』『優勝目指して頑張ってください』といったものが多い。
「そういう意味では前回よりもちょっとハードルが上がっている。ちゃんと結果を出さないといけないっていうのは、私自身、感じています」
花田はこう気を引き締め直していた。
また、第二弾の資金の使用用途も、第一弾から発展したものだ。
第二目標金額を達成した場合の使途には『有力選手の獲得』とある。
早大は2022年12月から『スポーツ強化募金』(野球・駅伝・ラグビーの3部の奨学金)がスタートしたが、他大学に比べるとまだ十分とは言えない。有力選手のなかには経済的に厳しい者もおり、そうした学生を支援する奨学金制度をクラウドファンディングの資金で拡充する方針だ。具体的には、支援金の一部を奨学金の原資として対象者に給付する。さらに、第三目標金額を達成した場合には、その奨学金の増額も予定している。
学費免除等の手厚い待遇がある他大学に比べるとまだまだかもしれないが、経済面での支援が拡充することで、スカウティングがより充実したものになりそうだ。
もちろん多くの支援金が集まったからといって、すぐに箱根駅伝で優勝できるわけではない。ここからは花田の手腕にかかっている。2011年以来遠ざかる箱根路の頂点を目指す強化がいよいよ本格化する。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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