スーパーランナー田中希実は「人間の可能性を決めたくない」だから「世界記録が更新されても驚かないし、トップ選手たちにも憧れない」 (2ページ目)

  • 寺田辰朗●取材・文 text by Terada Tatsuo

【この冬の予定と10000m参戦の可能性】

――1月にはケニアに行き、ケニア人選手からいろいろなことを吸収されるかと思います。この冬のトレーニングとレースプランは?

田中コーチ「全国都道府県対抗女子駅伝(1月14日)のあとにケニアで2週間くらい練習して、そのままアメリカに移動します。ボストンとニューヨークシティで室内レースを走って帰国して、国内で合宿です。選考要項では、日本選手権クロスカントリー(2月25日)は出場さえすれば、世界陸上の入賞者は代表に選ばれます」

田中「世界クロスカントリー選手権はリレー種目を希望しています。リレーを組めたらすごく楽しいかな、と」

田中コーチ「3月上旬の世界室内選手権と3月末の世界クロカン選手権。4月は国内のグランプリを走って、5月はまたアメリカを転戦しながらダイヤモンドリーグも出場機会があれば参戦します」

――10000mに出場するプランもあるのでしょうか。

田中「私はそれほど走りたいとは思っていませんが、父(田中コーチ)が走るのもいいんじゃないか、と」

田中コーチ「意識はしています。どのレース、いつのタイミングになるかはわかりませんが、パリ五輪の参加標準記録(30分40秒00)を切るぐらいの走りに挑戦する気持ちが固まれば、走ってみてもいいのではと話しています。自分たちの目指すべきところの取り組みである1500mと5000mに10000mが加われば、より理想に近づけることができると思っています。どの種目に対しても臆することなく臨める覚悟を確固たるものにしたいと感じています」

田中「日本では春先にしか10000mのレースがないのですけど、私は春先には1500mを重点的にやりたいので、そこの両立が可能なのか、という部分も考えていかないといけません」

田中コーチ「絶対に出る、ではなく、走る可能性がある、くらいですね。10000mをやることが5000mに生きる、ということは言えると思っています。ケニアにも行きますし、トレーニングの状態を見ながら決めていくことになるでしょう」

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