箱根駅伝の沿道で徳光和夫は選手たちに声かけ&生実況「サザンオールスターズのあの音楽が聴こえるか」「烏帽子岩がほほ笑んでいるぞ」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • 柳岡創平●撮影 photo by Yanaoka Sohei

【忘れられない選手と自慢の同僚】

 これまでに目の前を走った選手でよく覚えているのが、山梨学院大の古田哲弘選手(第73回大会8区)です。

 あの時は日差しが強くて、彼の5厘刈りが照り輝いていたんですよ。本当にみごとな走りで、目の前で前を走る選手を抜き去りました。1年生で区間新記録を打ち立てて、その記録は22年間破られることがありませんでした。

 僕がまだ日本テレビの社員だった頃に、テレビ中継が始まりました。僕自身、スポーツ中継はプロレスしかやってこなかったから、箱根駅伝の中継には携わってはいません。

 自慢話のひとつなのですが、同期の坂田信久っていうスポーツ局の人間(初代プロデューサー)と、技術の大西一孝が箱根駅伝の中継を可能にしたんです。

 坂田は全区間中継することにこだわっていたのですが、箱根山中ももちろんですが、湘南の海岸線も鎌倉の山で電波がさえぎられてしまうので中継するのが難しかったそうです。彼らふたりは湘南を歩き回って大磯の山を見つけて鉄塔を立てて解決したんです。つまり、私の同期が箱根駅伝の中継を可能にしました。彼らは僕の誇りです。

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