青山華依がトレードマークのキュートな笑顔で疾走 大ケガを乗り越えてパリ五輪へ前進 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【復活レースを走って見えたもの】

 大ケガから9カ月が経過し、青山の姿は11月3日に静岡で行なわれたエコパトラックゲームズの100mと4×100mリレーの舞台にあった。レースとしては、昨年10月の国体以来だ。

「今日はとりあえず走りきれたことが何よりうれしいので、もう120点です」

 午前10時の個人戦予選と12時過ぎからの4×100mリレーのアンカーを走ったあと、100m決勝は左ハムストリングが攣ったことで棄権したが、表情は明るかった。

「メッチャ楽しかったです。いつもだったら2時間おきに連続で3レースも走りたくないと思ってしまうけど、今日はテンションが高くて、浮かれていたので。4継も気持ちよく走れたので、100m決勝も『賞品のメロンを取るぞ』とやる気満々でアップをしていました。でも、4継が終わってから左ハムストリングが『攣りそうだな』と思っていたら、案の定アップ中に2回くらい攣ってしまいました。

 痛みが出たわけではないので大丈夫ですが、久しぶりのレースで張りきって2本走ったので疲労が溜まったのと、暖かかったのでちょっと脱水症状のようになったみたいです」

 大ケガを乗り越えて走った、1年1カ月ぶりだった今回のレース。体が少し大きくなっていた青山はスタートからのフォームは以前と同じながらも、初速が鈍かった。それでも中盤から抜け出すと、組1位の11秒93でゴール。決勝に駒を進めた。約2時間後の4×100mリレーでは甲南大の4走を務め、スムーズな加速で走ると、前の3人が作ったリードを守って45秒42で優勝を決めた。

「この9カ月間は走れない分、ウエイトトレーニングをたくさんしたので、肩周りとか体幹の筋肉がつきすぎて長方形な体になったし、体重が2キロくらい増えました。それがまだ絞りきれていなくて、走る体をつくりきれていない。もう(ケガの)怖さはないけど、膝を上げる筋力もまだちゃんと戻ってないのでスタートのピッチも上がらないし、レースに慣れていないし、後半も走れない。その3点セットですね......。

 今日は朝5時45分に起きて静岡に来て、100mの予選と、4継は軽く走れてよかったので、(棄権した)100mの決勝も走れたらもうちょっと体が動いたと思います。でも、こんな重たい体でも11秒9で走れたのは本当によかったと思います」

 復帰レースを振り返った青山に、復帰レースとしての評価を聞くと、間を置かず「すごくよかったと思います」と答えた。

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