織田記念陸上・男子100mで混戦を制した19歳の柳田大輝は強気で物怖じしない性格 次なる目標は「個人種目で世界大会に出場する」 (2ページ目)
さらに日本選手権にも初出場して7位になると、翌21年5月には若手で構成した世界リレー代表になり、4走を務めるとブラジルとガーナの失格もあり、15年大会以来の銅メダル獲得の快挙を果たした。
そのあとの21年日本選手権は前年と同じ7位ながら、準決勝では高校歴代2位の10秒22をマークし、東京五輪の4×100mリレーの補欠登録となり、代表チームと行動を共にした。
そして東洋大に進んだ昨年、5月の関東インカレでも10秒19で優勝すると、6月の日本選手権では準決勝で自己記録を10秒16に伸ばしたあと、決勝ではサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)と坂井隆一郎(大阪ガス)次ぐ3位になって世界選手権リレー代表入り。
初の大舞台だった世界選手権は4走を務めた予選を4位でゴールしたものの、2~3走のバトンミスで失格という結果になったが、その直後の世界ジュニアでは準決勝で10秒15の自己新を出した。4×100mリレーは、ジャマイカと同タイムの39秒35ながら競り勝って優勝と結果を残している。
昨年の日本選手権で3位になった時には、6位だった桐生が「そろそろ世代交代ですね、と言ってくるんですよ」と苦笑していたほど強気でもある柳田。今季は単独で渡米して4月15日のマウントサックリレーをシーズン開幕戦にし、ファイナル2(トップ選手はファイナル3)で10秒35の4位になってきたばかり。
「レベルの高い試合だったのはもちろんですが、日本語が通じないなかで食事をしたり、受付をしてゼッケンをもらいに行ったりとか。そういうこともほぼひとりでやったので、本当に新しい発見というか、初めての経験ばかりで楽しかったです」
この冬はウエイトトレーニングの質を上げたことで、筋力がついてきているのも実感している。春先の合宿では筋肉の使い方がうまくいかずバランスを取れていなかったが、今はそれも解消してきて「スタートからしっかり力を発揮できるようになってきて、トップスピードも上がってきたと感じている」と手応えを口にする。
さらに「いい条件で走れば、自己ベストももうすぐかなと思います」と明るい表情で話す。
次の目標は、「世界大会に個人種目で出場する」こと。そのためには10秒0台はもちろん、その先には今年の世界選手権や、来年のパリ五輪の参加標準記録でもある10秒00の突破も必須になってくる。今回の勝利で柳田はその記録が夢ではなく、目指していかなくてはいけないものだと強く自覚したはずだ。
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