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田澤廉との合宿で「何ひとつ勝てなかった」と刺激 学生ハーフ優勝の駒澤大・篠原倖太朗「エースには自分がならないと」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

【数々のランナーを生む駒澤大の育成法】

 篠原を始め、長距離において最近、駒澤大勢の強さが際立っている。

 チームは学生駅伝3冠を達成し、OBでは先日の東京マラソンで山下一貴(19年卒・三菱重工)が日本人トップを記録し、日本人2位には其田健也(16年卒・JR東日本)が入った。山野力(駒澤大4年)も30キロまで日本記録ペースで走り、今後の走りに期待が膨らんだ。

「私は、大学で終わるんじゃなくて、実業団に入ってからの伸び代を考えて指導していました。選手も実業団に入ってから成長していくという心構えがあります。たとえば山野には、東京マラソンでは30キロまで先頭についていければいいと伝えていました。実際、日本記録ペースで、そこまでいったので、もう十分です。そこから落ちてきたのは仕方ないですし、それがマラソンのきつさになります。それを味わいながら30キロ以降の12.195キロは実業団でしっかり走り込んでください、というのが私の考えです」

 大八木監督は、山野が実業団でさらに距離を踏んでいけば1年目で2時間8分台を出すことは十分に可能であり、いずれ5分台もいきそうだとみている。

「山下も其田もスピードをつけていけば、もっと伸びていくでしょう。今、私が目指しているところは2時間3分、4分の世界です。田澤がマラソンをやる時は、そういう世界にいかないとダメですが、たぶんいくと思います」

【篠原倖太朗の現状のレベル】

 田澤への期待感は、膨らむばかりだが、今シーズンの駒澤大の戦いにクローズアップすれば、やはり鈴木や篠原の成長が気になるところだ。

「篠原は、まだ田澤の60%ぐらいのレベルですね。芽吹が篠原の上にいる感じで、3人のなかでは一番弱いという自覚を本人は持っています。今シーズンは、1万mで27分40秒ぐらいはいってほしいですね。そのくらいを出していかないと田澤や芽吹についていけないと思っているはず。狙って結果を出してほしいです」

 田澤からのエースの流れをくむ外さない男が、4月からの新シーズン、どんな走りを見せてくれるのか。吉居大和(中央大・3年)、三浦龍司(順天堂大・3年)、石原翔太郎(東海大・3年)ら各校のエースや主将の鈴木たちの間に入って前を行く走りを見せられれば、秋には駅伝で「大目立ち」する日がやってきそうだ。

著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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