箱根駅伝の素朴な疑問15【レース当日編】。「当日の選手変更」「起床時間」「うしろの選手の気配」「監督からの声」などに専門家が回答

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会

給水係についての疑問も聞いた給水係についての疑問も聞いたこの記事に関連する写真を見る

いよいよ目前にせまった箱根駅伝。優勝校やレース展開の予想が注目されるなか、「そもそもアレってどういうこと?」という素朴な疑問を集め、3人のスペシャリストに聞いてみた。各大学の方針や個人の見解によって違いはあるものの、思わず「へぇ~」とうなる回答がそろった。

答えてくれたのは......

大後栄治監督
神奈川大学陸上競技部駅伝チーム監督。箱根駅伝で2回の優勝経験を誇る(往路優勝は3回)。今回、本戦出場は逃したが、数々の名ランナーを育てた名将。

神野大地
プロランナー。青山学院大時代、箱根駅伝に3度出場(2014年2区で区間6位、2015年5区で区間1位<区間新>、2016年5区で区間2位)。「3代目山の神」と呼ばれる。

たむじょー
9万6900人のチャンネル登録者数(2022年12月29日現在)を誇る、ラン×コメディ系YouTuber。帝京大時代、箱根駅伝に出場した(2018年8区で区間11位)

※  ※  ※  ※  ※

箱根駅伝の素朴な疑問【レース前後編】はこちら>>「往路と復路の選手の違い」「区間エントリーで補欠の主力選手」「シード落ち」の疑問

疑問1.選手の当日変更は、いつ決めているのですか?

大後監督 例年12月29日に区間エントリーが発表されますが、直前に体調不良者や故障者が出た場合も想定し、当日の選手変更までさまざまなシミュレーションをしています。あらかじめ控えを当てている場合もありますが、どこの監督も腹のなかでは誰を走らせるのかは決めていると思います。当日の選手変更は他大学の動向を見てとか、往路の様子を見てというのはあまりないです。区間配置は対大学ではなく、自チームが一番よいパフォーマンスを発揮するには、どこに誰を配置すべきか、という適材適所で決めているのではないかと思います。

疑問2.各区間、選手は何時に起きて、どのように準備をしているのでしょうか?

大後監督 基本的には午前2時頃に起きます。軽く朝練習をして、スタートの4時間前に食事を摂っています。その後、中継所に向かい、レースの1時間前からウォーミングアップを始めます。ただし、当日いきなりこのような準備はできません。起床時間も徐々に早くしたり、工夫が必要です。数日間かけて、体を慣らして準備をしていきます。

神野 だいたいスタートの5時間前に起きて、体を軽く動かして、4時間前に食事を摂るのがセオリーですね。5区の時は、日常と変わらず、朝6時頃に起きて、軽く走ってきて7時頃にシャワーを浴びて、朝食を摂りました。食べるものは人によって違いますが、僕はおにぎり、赤飯、団子とオレンジジュースとかですね。2時間前には必ずゼリー飲料を摂ります。

たむじょー 区間によって変わってきますが、僕が1区の付き添いをした経験から考えると、8時スタートなので起床は午前2時過ぎです。起きて体を少し動かしてスタートの4時間ぐらい前に食事を摂ります。朝食は消化にいいうどんとかお餅とか炭水化物をメインに摂ります。スタート地点の大手町にはスタートの2時間ぐらい前に入ってアップして補食を摂ったりします。30分前にゼリーを飲んで、いざという感じでした。

疑問3.出走する際は早朝、寮から出発するのですか?

神野 大学によってそれぞれ違うと思うんですけど、青学大は区間ごとに分かれてホテルに泊まります。僕は5区なので小田原に泊まりました。レースの前夜はひとりで宿泊し、夕食は近くのファミレスでした。正月なのでどこもやっていないんですよ。付き人といると気を遣われるのがいやですし、妙な緊張感のなか、話をするのもなぁと思っていたので、ひとりにしてもらいました。

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る