箱根駅伝の素朴な疑問15【レース当日編】。「当日の選手変更」「起床時間」「うしろの選手の気配」「監督からの声」などに専門家が回答 (3ページ目)
疑問8.なぜ「花の2区」と呼ばれるのですか?
大後監督 2区は23.1キロという長い距離ですし、襷を受けた直後からかなりのハイペースで競い合います。また、後半に権太坂を含む非常に困難なコースが待ち構えています。そこを走破するためにはスピード能力がないとダメですし、後半のハードな上りを克服しないといけないので、スタミナ能力も必要です。その両方の要素を高い次元で獲得した各大学のエースと言われる選手が配置され、しかも競った熱い展開になるので、花の2区と言われています。
神野 2区は単純に距離が23.1キロと長いのと、14キロ地点の権太坂と20キロ過ぎの坂がすごくて5区以上にキツイ区間です。実際、20キロ過ぎのラスト3キロは、9分半ぐらいかかるんです。そのくらい大変だし、やっぱり力がないと走れない。ここにチームで9番目ぐらいの選手を配置してもついていけないし、メンタルをやられてしまう。必然的にチームで1番強い選手、各大学のエースが集まるので花の2区と言われています。
たむじょー くわしい理由はわかりませんが、2区が箱根駅伝の勝敗を分けるポイントで、しかもコースが厳しいからじゃないでしょうか。実際、1区の流れを崩さずに、2区で勢いをつけることができれば3区以降も戦える流れになりますが、2区で遅れてしまうと3区以降が非常に苦しくなります。そういう重要区間に各大学のエースが投入されたからだと思います。
疑問9.うしろから来る選手の足音は聞こえますか?
たむじょー 足音は聞こえないですが、沿道の応援が大きくなって、来てるなというのは感じたことがあります。僕が走った時、うしろから中央学院大が迫ってきたんです。その時、「学院行けー」とか「帝京に追いつくぞ」という声が聞こえてくるんです。その時、「あっ、もううしろに来ているんだな」と思っていました。でも、特に焦ったりはしませんでした。わりと冷静に、追いつかれた時にどうしようかな、離れないでついていこうとか、考えて走っていました。
疑問10.付き添い、給水係は、どのように決めているのですか?
大後監督 付き添いは、下級生が走る場合は箱根の経験がある上級生を配置しますし、上級生の場合は気心の知れた上級生同士になる場合もあります。力がある選手の付き添いには、今後を期待する選手、たとえば今年は補欠だけど来年はお前が頑張らないといけないということで付き添いにして、雰囲気を経験させるケースもあります。給水係は基本的には選手からのリクエストを尊重していると思います。
神野 基本的には部の主務(チーフマネージャー)がわりふっています。主務はチームの人間関係をかなり理解しているので、ここの給水にはこいつだなとか、うまく当てはめていくんですよ。ただ、選手がリクエストする場合もあります。4年の時の僕の給水係は、仲がよかった川崎(友輝)さんと寮長の伊藤(弘毅)にお願いしました。付き添いは、僕の場合は、5区の補欠選手でした。待機所では、基本的にアップとか自分ひとりでやることばかりなので、僕は誰でも問題ないという感じでしたね。
たむじょー 付き添いは基本的には監督が決めていたのですが、4年生ですと信頼できる同期がいいということで、なかには選手側のリクエストが通るケースもあります。ただ、1、2年生が出走する場合は、経験がないぶん上級生がついたほうがスムーズに動けるということで、3年生以上やマネージャーがつくことが多いですね。僕が8区を走った時は、初めての出場だったこともあって先輩やトレーナーさんがついてくれました。給水係は、指示を出すケースやいろんな声かけが行なわれる大事な場面なので、慣れている上級生が担当することが多いです。僕が出走した時は、ひとりが同期で、もうひとりがひとつ上の先輩でした。
3 / 5