箱根駅伝の素朴な疑問15【レース当日編】。「当日の選手変更」「起床時間」「うしろの選手の気配」「監督からの声」などに専門家が回答 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会

疑問4.シューズは、自分の好きなものを履けるのですか?

たむじょー シューズは各自、自分が好きなものを履きます。ただ、なかにはメーカーと個人契約をしている選手もいます。そういう場合や大学指定のシューズがないかぎりは、基本的には自由です。

疑問5.ユニフォームのセットは、どのように決めているのですか?

大後監督 雪や雨が降らなければ、基本的には自由です。ただ、5区と6区は気温と風向きを連絡させてウェアーの対応をしています。5区スタートの小田原中継所と箱根山中では温度差が激しい場合がありますので、情報を付き添いか選手に伝えます。後半に冷えてきそうならTシャツにアームウォーマーをつけて走らせています。とにかく冷えてしまうと体が動かなくなるので、そこは注意しています。

神野 青学大の場合、朝8時ぐらいから計測する部員がいて、山の頂上に行き、気温、湿度、風速などの情報を全体のLINEに送ってくれます。山は天気予報では把握できない部分もあるので、実際に現場から情報を送ってもらうのが一番なんです。僕が3年の時は、山の上の気温が0度ぐらいでめちゃくちゃ寒かった。最終的にTシャツにアームウォーマー、手袋を2枚重ねてスタートしました。ゴールした時の写真を見てもらえるとわかりますが、指がめちゃ太く映っています。

たむじょー ユニフォームは、1区から4区、7区から10区は、基本的にはランパン、ランシャツでほぼ決まっています。ただ、5区と6区は山で寒さが厳しいので、よほどの希望がないかぎりはランTシャツにアームウォーマーを着用することで決まっています。たまに長袖で走る人もいますが、かなりレアかなと思いますね。

疑問6.監督車(運営管理車)に、必ず持ち込むものはありますか?

大後監督 選手の情報シートを作って、それを持ち込んでいます。通過設定タイムや過去の先輩たちのタイムを記載し、実際のラップを書き込めるものです。それを次の世代に渡せるようにしています。食べ物は持ち込みませんが、スポンサー様から菓子パンが提供されます。トイレは3区と8区でそれぞれ1回休憩がありますが、場合によっては我慢しないといけなのでなるべく水分は摂らないようにしています。そのため、喉が乾燥してくるので、のど飴は必需品ですね。

疑問7.襷にはどんなこだわりがありますか? 襷のかけ方は練習するのですか?

大後監督 襷は神聖なものです。デザインはいつもほぼ同じなのですが、劣化してくるので、うち(神奈川大)は本番で使用する分は毎年作ってもらっています。それ以外に襷のレプリカを20本用意しています。ふだん、襷をつけて走ることがあまりないので、ランニングパンツへの収め方、襷の生地の感じとか、本番に合わせて、練習で慣れさせています。またレプリカには歴代の使用者の名前が刻まれていて、先輩たちが培ってきた歴史が理解できるようになっています。襷には継承、つなぐという意味が込められています。

神野 大学名を前に出すように、かけ方を工夫しています。高校の時は、駅伝の襷って気にしたことがなくて、パっとつけてキュッと締めてランパンに収める感じだったんです。でも、箱根駅伝はずっとテレビに映るし、襷がきれいにかかって大学名が見えたほうがカッコいいなと思ったのでかけ方を練習しました。

たむじょー 僕は襷をもらった時、けっこう焦ってしまい、早くつけないといけないと思って何も気にせずにすぐにかけて走り出したんです。だからこだわりとか特になく......。襷をとりあえず斜めにかけるぐらいしか考えていなかったですね。

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