箱根駅伝で「強豪校は早稲田をライバルとも思っていない」。花田勝彦新駅伝監督の再建策とは? (2ページ目)

  • 佐藤俊●文・撮影 text & photo by Sato Shun

 花田監督は6月から指導しているが、すでにチーム内に変化の波を感じている。とりわけ、ポジティブな姿勢を感じているのが上級生だという。

──6月の指導から夏合宿を経て今、選手に変化は見られますか?

「一番変化を感じるのは、3、4年生ですね。夏合宿では、キャプテンの鈴木(創士)が一番早く起きて、集合前にアップしています。鈴木はキャプテンになった時、チームが崩壊状態で、うまくまとめきれていなかったんです。それで悩んでいた時期があったんですが、そういう時期に強引にまとめようとしても疲れるだけですから、まずは自分が元に戻り、背中で引っ張って行けるようになればいいんじゃないかという話をしたんです。そこから無理せず、自分のすべきことをこなし、他の上級生も練習で積極的に動く姿勢が見られてきています」

──練習も変化があり、ロードでは厚底シューズNGも取り入れていると聞いています。

「シューズ効果で相対的に記録が上がったんですが、正直なところ全体のレベルが上がったとはあまり感じていません。走れる選手は増えたけど、実際に期待どおりに走れる選手が今まで増えたかというと、その部分は変わっていないですよね。選手は、厚底がラクに走れるのでそれでやりたいとは思いますけど、厚底シューズを使用することで故障が増えたのも事実です。うちも大腿骨や仙骨の疲労骨折が増えてきました。それで、意図的に厚底を履く頻度を減らしています」

──厚底に慣れしまうと薄底では物足りなさを感じてしまう選手も多いのではないかと思います。

「夏合宿の1次、2次は薄底重視でべーシックなトレーニングをしてきたんですが、やはり最初はカーボン入りじゃないので走れないんですよ。薄底で走れるようになって厚底を履くと、今度はそこでうまく走れない。この方向性で大丈夫なのかって心配する選手も結構いましたが、最近はようやく噛み合ってきています。ベーシックなトレーニングがなくても厚底をうまく使えるとポンと記録が出てしまうんですが、記録以上に走りすぎてしまって故障するリスクが高いので、そこはうまくバランスをとって、ここまでこれているのかなと思います」

 10月15日には箱根駅伝予選会が控えている。東海大、明治大、日体大、神奈川大、大東文化大ら総合優勝経験のあるチームと10枠をかけて戦うことになる。

──予選会に臨むにあたり、上武大時代と今回では違うものがありますか?

「上武大の時は越えないといけないハードルだったんですが、早稲田は越えて当たり前、本来はこの場所にいてはいけないチームです。その先に全日本大学駅伝や箱根駅伝の本戦もあるので、そこを見すえての予選会になるので、力の加減は上武大時代とはかなり違いますね。大事なことは、本戦を見すえた戦いができるかどうかだと思っています。確実に予選会を通るための戦い方だったら本戦は戦えないでしょう」

──予選会はトップ通過を目指すということでしょうか。

「順位は他大学との相対的な力具合もあるので、何とも言えないですけど、個々の選手が力を発揮した戦いができれば本戦は面白くなる。逆に、お互いに力を合わせて、上武の時のように集団走で力をセーブしながら確実にいくような戦いをしているようだったら本戦は結構厳しいかなと思います。本音を言えば本戦を考えて多くの選手をフリーで走らせる戦いをしたいですけど、それで失敗して落選したら何の意味もなくなりますからね。うちはまだ12人全員が自由に走れるだけの力がないので、ある程度は確実に走る選手も作っていこうかなと思っています」

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