パリ五輪でアジア新記録を狙う山縣亮太。意識する「自分の経験値と専門家の知見のリンク」とは? (3ページ目)
ーーどのようにしてセイコーにたどり着いたのでしょうか?
ひとつにはセイコーが持っているイメージが自分の競技観とすごく重なるということです。セイコーは日本のブランドでありながら、世界と渡り合っている。かくいう自分も、「緻密な走り」などと言われたりもするなか、セイコーの持つ精密な技術力と、自分の競技観とにすごい親和性があるのでは、と感じていました。
もちろん、陸上競技の現場という意味においても、セイコーのタイマーは選手にとって馴染みがあるし、競技に対する理解はあるだろうなと期待していた面もありましたね。「そうだ、ダメもとで話してみよう」って感じでした。なにより、陸上部がないところも「未開の地」に足を踏み入れる感じがあって、面白そうだなって。大学の監督やOBとのご縁もあって、すごく理解をしてもらいました。
ーー2015年にセイコーに入社し、2022年で8シーズン目です。その間、リオと東京で2回の五輪に出場し、2021年の布勢スプリントではついに9秒95の日本記録を樹立しました。今季からはさらにたくさんの選手が入ったそうですね。山縣選手がセイコーとともに切り拓いてきた道が、新しいチームの形になっているのではないでしょうか?
チームは今年、陸上以外の選手も加わって9人になりました。僕自身はパリ五輪を目指していて、基本的には、セイコーに入ってからずっと選手としての活動に専念しています。ただ、セイコーが運営している陸上教室などのイベントに講師という立場で積極的に参加しています。
ーーイベントで子どもたちと触れ合うと、どんなことを感じますか?
やっぱり子どもは素直だなって。いい意味で、反応がダイレクトに返ってくる感じです。わからなかったらわからないってハッキリしているんですよね。楽しい時には、すごく笑ってくれるので元気をもらえます。こちらが子どもたちにとっていい機会をつくってあげたいなとの思いでやっていますが、毎回、逆に元気をもらっちゃっています。
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