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「こんなに運動能力の高い選手は見たことがない」監督も驚く110mハードラー泉谷駿介のすごさ (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 山崎監督は、泉谷の競技に対する意識も高く評価する。

「試合での力の発揮能力は高く、勝負勘もすごいと思いますが、普段から冷静でしっかり自分を分析できているタイプです。競技に対してもいろんな人の話を聞き、それを取捨選択して自分のものにしている。

 試合前も周りに流されることなく、自分で考えて要所を抑えながらやる図太さも持っています。日本選手権の決勝の前も自分の動きを映像で見直すのではなく、19年世界選手権で優勝したグラント・ホロウェイ(アメリカ)の映像を見て、『これすごいですね、こんなに細かく走るんだ』と話していたけど、決勝でその通りにやれていた。そういう修正能力はメチャクチャ高いと思います」

「追い風参考で出した記録や7.7cm低いジュニアハードルで出した記録は、公認のハイハードル(106.7cm)でも出せる」という持論を持っている山崎監督。陸連の強化育成部長時代に、現場の反対を押し切り、あることを変えた。

 その頃の日本陸連主催のジュニア大会では、ハイハードルを採用して強化を行なっていたが、体の大きな選手が有利な強化になっていた。そこで、運動能力が高く、なおかつ足の回転や、バネのある選手を発掘するのが重要だと考え、ジュニアハードルに戻したのだ。そんな強化の中から育ってきたのが、前日本記録保持者の金井であり、泉谷だった。

「本人はまだ好きな跳躍をやりたいと思うから、やりすぎないように抑えながらケガを抑制し、基礎的な能力をしっかり上げていけばいいと思います。ハードルは今回、僕らの想像を超えた0台を出したので、12秒台にも行けるのではないかと思います」

 2年前には現地に行きながらも走れなかった世界の大舞台。待ちわびたその舞台でしっかり結果を出すことが、泉谷にとっては次の大きな飛躍につながるはずだ。

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