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「こんなに運動能力の高い選手は見たことがない」監督も驚く110mハードラー泉谷駿介のすごさ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 東京五輪に向けて泉谷は、昨年10月の日本選手権以降、出場試合をハードルに絞った。リオ五輪以降の陸上連盟がハードル強化で取り組んできたのは、「前半の4台目までのハードル間のラップタイムを上げ、前半で前に出られるようにすること」だった。

 隣のレーンの選手と腕などが接触する可能性も高い110mハードルでは、前半に前に出ることで優位に立てるからだ。しかし、泉谷はその課題をすでにクリアしているという。

「4~5台目までのトップスピードを上げることは必要ですが、日本選手の場合は後半が落ちてしまう。泉谷の場合も後半にハードルを引っかけて減速していました。世界の12秒台や13秒0台を出す選手は、後半も落ちないでフラットなラップタイムで走るんです。だからスタートから1台目までをそれまでの8歩から7歩にして楽に行かせ、そこでエネルギーを温存させて後半も速いピッチで行くという、次の段階を意識させました」

 こう話す山崎監督は泉谷の長所を、「跳躍種目で身についた、踏み切ってからの振り上げ足の速度が他の選手よりはるかに速いところ」だと言う。175cmと身長が低い分、ハードリングで空中にいるタイムが長くなったとしても、踏み切りから入る時の速度でそれを相殺している。さらにハードル間の走りも日本選手権の決勝では、無駄のないすり足で速いピッチを刻めるように修正していた。

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