設楽悠太が受け継ぐ「ホンダイズム」。狙うはニューイヤー駅伝初優勝 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 今シーズン、チーム最年長となった設楽はキャプテンに任命された。自分のことだけでなく、チームを牽引していくことが求められるようになった。

「キャプテンだからといって、特別なことはしていません。みんなが極度に緊張することなく練習に集中できるように、新人をはじめ、できるだけ多くの選手に話をするようにはしています。そうすることでチームの雰囲気がよくなりますから。一気に変えるというより、時間の流れのなかで徐々に変えていけたらいいなと思っています。自分がキャプテンになってから若い選手が積極的にコミュニケーションを取ってくれるようになり、少しずつですけど、チームは変わってきていると思います」

 個性派キャプテンだが、話を聞いているとサバサバした感じというよりも人情味が溢れていて、そんな設楽がチームをまとめ出場するニューイヤー駅伝が楽しみである。

「会社として一番大事で、社員のみなさんが一番応援してくれるレース。そこでしっかり走って、結果を残したいという気持ちが強いです」

 Hondaは1994年と2018年に準優勝を果たしているが、まだ優勝はない。今年は伊藤達彦、土方英和、青木涼真といった実力ある新人が加入し、木村慎、小山直城、中山顕ら力のある選手も揃っており、優勝を狙えるだけの戦力を保持している。

「チームとしての順位がどうこうよりも、まずはそれぞれが自分のレースをしてほしい。自分もしっかりと準備をして、役割を果たしたい。そうすれば結果もついてくると思います」

 はたして、悲願の初優勝なるか。設楽キャプテンが引っ張るチームなら、"何か"を起こしてくれそうだ。

 そんな設楽が後継者として、大きな期待を寄せているのが伊藤だ。

 2020年1月の箱根駅伝では、東京国際大のエースとして2区を走り、東洋大の相澤晃(現・旭化成)と名勝負を演じ、伊藤の名は一躍全国区となった。大学屈指のランナーとして、将来を嘱望された伊藤が選択した実業団チームはHondaだった。

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