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新谷仁美、タイムが爆発的に伸びた転機。
「自分の気持ちが解放された」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO SPORTS

 元々は800m走の選手だった横田コーチの指導の中で長い距離の持久力も、スピード持久力も向上してきた。それが最初の結果となって現れたのが、今年1月のハーフマラソン1時間06分38秒の日本記録樹立だった。さらに9月には5000mで日本歴代2位の記録も出し、満を持して臨んだのがこの12月の大会だった。

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 今回のタイムは昨年の世界ランキングでは2位に相当し、昨年までの世界歴代の記録では22位ながら、2010年代以降なら8位になる好タイムだ。だが世界大会のメダル争いとなれば、強烈なラストスパート合戦となる。それは新谷も承知のことだ。

「世界大会になれば、強い選手たちはタイムより勝負を仕掛けてくる。そういう急激な変化のあるレースに対応するには、まずはタイムで追いつかなければいけないので日本記録更新は必須だと考えていました。その点では第1段階はクリアできました。ただ、世界は29分台なので私の300m先に優勝者がいる状況。これからその位置で戦えるようにしていかなければいけないと思います」

 ただ、新しいシューズの影響もあり、世界も進化している。その中でどこまでライバルを振り落とせるスピードで走り切ることができるか。それがプロとしての強い意識を持つ、彼女が目指していくものになる。信頼できる人たちとともに新谷はこの大会で、その可能性をしっかり見せてくれた。

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