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立教大が箱根予選会でまさかの28位。
惨敗のなかで見えた悲願への道程 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 来年は、たとえば各自ジョグをなくして距離を踏むとか、目的をはっきりして選手とコミュニケーションを取りながらやっていきたい。今年はこの練習をやらなかったので、このタイム、この順位になった。その反省を踏まえて、来年新たな練習に取り組めば、タイムも順位もよくなると思います」

 厳しい練習を軍隊式に課せば強くなるかもしれない。だが、そうなると個人で考えて強くなる"立教らしさ"が失われてしまう。そのことについて、上野監督は予選会後のミーティングで選手たちにあらためて話したという。

「ウチは自由な環境で自ら考えて競技をすることにこだわっています。でも、楽しくやるだけじゃなく、結果を得るための厳しさも必要です。ミーティングでは『個を大事にすることは変えないけど、求められるレベルが上がってくるので、上を目指してやっていこう』という話をしました」

 今の1年生は上野監督がやりたいことをやれる環境であることを明言し、スカウティングしてきた。来年の新入生も同じだ。だが、今回の結果で、おそらく1年生を含めた多くの選手たちが予選会の練習に傾倒し、個人種目にかける時間が減少することを覚悟しただろう。とはいえ、トラックシーズンでは個々の活動に集中することに変わりはないと、上野監督は選手たちに伝えた。

 ただ、夏合宿からは予選会モードにガラリを切り替える。そこは今年以上に厳しくなるだろう。第100回大会までに箱根駅伝に出場するチャンスは、あと3回しかないのだ。

 そしてチームは、予選会終了後に新体制が発表された。新キャプテンには、上野監督が「頑張り屋」と評価する石鍋拓海(3年)が就任し、副キャプテンには加藤大輔(3年)が就いた。エースの斎藤は選手として、競技に集中するために役職には就かないことになった。主務には、豊田桃華(2年)が就き、立教大初の女性主務が誕生した。上野監督の片腕となり、動いていた「早田(光佑)主務の卒業は痛い」と上野監督は苦笑するが、このスタッフで2021年新シーズン、そして箱根予選会に挑むことになる──。

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