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腹痛に悩むランナーを救えるか。
筋膜の緩和が改善のカギだ (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

今年、白金台整体院をオープンした中本亮二氏今年、白金台整体院をオープンした中本亮二氏「ランニング中に起こる腹痛に対して、腹部の筋膜をほぐすともちろん鎮痛効果はあります。ただ、腹痛が起こる人は胸や手足が硬い人が多く、そのため全身をやる必要があるんです」

 また、施術は軽い炎症反応をあえて出すことが重要になる。硬くなった筋膜に摩擦と熱による刺激で軽い炎症を起こすことで、筋膜上に必要以上に分子レベルでくっついていたヒアルロン酸分子の結合が外れ、結果として筋膜上でのすべりが改善する。そのため施術後は、炎症を抑えるアイシングや湿布などはしない。

 こうした施術によって、実際に症状が改善、あるいは痛みが消えた選手がいる。個人の詳細な説明はできないが、19歳の大学生のエリート長距離ランナーは、追い込んだ練習中、みぞおちから右脇腹にかけて差し込み痛が1カ月以上続き、マッサージや鍼治療を施したが改善しなかった。そこで筋膜治療を2回(1週間に1回)実施すると、練習時の症状がほぼなくなったという。

 また地区大会の組1位レベルの中学生長距離ランナーは、練習後しばらくすると差し込み痛が起こったため、練習強度を落としたり、中止したり、そういう期間が半年間続き、思うような練習ができなくなっていた。そこで筋膜治療を行なうと、2週間後はまだ差し込み痛が若干残っていたが、1カ月後の練習で症状は消え、2カ月後のレースでは1500mで自己ベストを更新した。

 このように中本の施術によって腹痛を解消したランナーいる。対療法ではないので、中本曰く「何回も繰り返してやらなくてもいいし、持続性がある」というところも大きい。

 これまで多くのランナーが苦しみ、悩まされてきたランニング時の腹痛。まだ謎は多く、すべて解明されたわけではないが、いい方向に進んでいるのは間違いない。中本は言う。

「今まで施術してきたなかで、まったく症状が治まらなかった選手はいません」

 腹痛予防のアプローチのひとつとして試してみる価値は大いにあるだろう。

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