【月報・青学陸上部】追いつめられた王者。ついに原晋監督が陣頭指揮へ (4ページ目)
吉永は戻ってきたが、ちょっと心配なのが下田裕太(4年)だ。
出雲駅伝では3区でチームを1位に押し上げる走りを見せた。その代償としてできた足のマメのダメージで、レース後は1週間走ることができなかった。その影響が大きく、全日本では途中で失速してしまった。学連1万m記録挑戦会でも今ひとつの走りで29分14秒60の22位に終わった。レース後、いつもはどんなに結果が悪くても話をする下田がめずらしく無言のまま取材ゾーンを通り過ぎていった。
下田は大丈夫か――。
その場にいた多くのメディアがそう感じていた。だが12日、壮行会では明るい下田に戻っていた。
「全日本では、足のことを引きずってしまったけど、今は順調に練習ができていますし、調子も上がってきています。出雲、全日本と走って負けてしまい、とても悔しい気持ちになり、それと同時に心から勝ちたい気持ちが出てきました。このチームで、このメンバーで優勝したいと思うので、それを力に変えて箱根まで練習していきたいと思います」
下田の起用については、原晋監督も頭を悩ませているようだ。
本来の状態であれば、往路のエース区間、あるいは昨年走った8区を予定していたはずだ。しかし、マメからフォームを崩し、コンディションも万全ではなく、本来の走りを完全には取り戻せていない。シューズとの相性の問題もある。合わないまま平地で長距離を走ると摩擦が生じてマメができやすくなる。ソックスやインソールなどで対策を練っているだろうが、不安の残る状況だ。
そのため、原監督は「下田の5区起用もありえる」と語る。
下田の5区起用は、昨年も構想にあった。ただ、貞永が計算できる走りを見せ、下田を復路の8区に回して優勝に結びつけた。今年は貞永の起用が困難になったので、昨年も山登りの練習をしていた吉田と下田が候補に挙がった。
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