【月報・青学陸上部】追いつめられた王者。ついに原晋監督が陣頭指揮へ (2ページ目)
その一方で主力クラスの選手が落選しているのも目につく。4年生の貞永隆佑と中村祐紀だ。貞永は今年、故障で出遅れ、夏を終えても「一度もベストな走りを見せたことがない」と安藤弘敏コーチが嘆くほどだった。昨年は箱根5区を走り、今年はその経験を活かしてさらに、という期待が大きかったが、最後まで調子が戻らずにメンバーから外れた。
中村も箱根を走れる力が十分にある選手だ。
2年時に9区を走ったが、3年の時は全日本大学駅伝を走ったものの箱根は走れなかった。今年は4年生として「自分のことだけじゃなく、チームを引っ張る」と意気込んでいた。しかし、全日本大学駅伝の1区(11位)で出遅れ、それが響いてチームは3位に終わった。その責任を重く感じ、メンタル的に大きなダメージを受けたのだろう。
学連1万m記録挑戦会では各大学のエース級が集った11組を走ったが、気持ちが折れているのが外から容易にわかるほど、走りに覇気がなかった。29分35秒95と自己ベストから1分も遅れ、勝ちにこだわったはずの順位は27位。
走り終わった後、周囲の声にも反応せず、苦悶の表情を浮かべながら茫然自失の体(てい)で立ち尽くす中村の姿は実に痛々しいものだった。メンバーに入れば、チームの力になれた選手だけに、メンタル的な回復をうまくサポートできなかったのか、非常に残念な落選だった。
対照的に、この学連1万m記録挑戦会で戻ってきたのがキャプテンの吉永竜聖だ。
世田谷ハーフでは67分19秒と大幅に遅れ、このままでは箱根は厳しいと思われた。しかし、最終試験となるこの記録会では橋詰や吉田を抑えて29分10秒、トップでフィニッシュした。
「最初は(1km)2分55秒でいって、最後に上げられたら28分台が視野に入るかなと考えていたんですけど、最初から余裕がなくて後輩たちに引っ張ってもらって申し訳なかったです。最後のスパートは、箱根に向けて4年生が士気を上げていかないといけないという思いがありますし、前に走った中間層の選手が本当にいい走りをしてくれたので、最後は自分が締めないといけないと思って体を動かしました。今年は前半からずっと調子がよくなかったので、最後の選考レースでやっと形になったかなと思います」
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