東海大の苦い教訓。箱根駅伝は「ミスすれば負ける」サバイバル戦に (2ページ目)
すると6km地点で青学大のエース下田が遅れ出した。湊谷は快走する越川と並走し、前に行くチャンスをうかがう。
「相手は足に余裕があったけど、自分はキツかった」
それでも襷(たすき)を握り締めて、拳に力を入れて走った。中継地点でトップの東洋大とは20秒差に縮まり、東海大は3位に上がった。青学大には43秒の差をつけていた。
6区には、國行麗生(4年)が待っていた。國行は両角監督の評価が非常に高かった選手のひとりだ。
夏の選抜合宿では4年生としてキャプテンの春日千速、川端千都(かずと)、小林和弥らとともにチームを引っ張った。明るい性格で後輩たちから慕われ、一方で練習中は後輩の背中を叩いて激励するなど、それまでになかった上級生らしい一面も見せるようになった。
出雲駅伝からは漏れたが、出雲後の記録会で上々の走りを見せ、高島平ロードレース(20km)では5位に入るなど調子を維持。2週間前のポイント練習のラストの3000mではペース走をして先頭を走り、フリーで走るラスト1周ではエース鬼塚翔太(2年)についていった。西出仁明(のりあき)コーチからも「よくやったなぁ」と笑顔で誉められていた。
そんな國行の努力を両角監督は高く評価していたのだ。
「レースは勝負事なので情は入れたくないのですが、國行はすごく頑張ってきた学生です。高島平までしっかりレースをこなしてきて、決して調子が悪いわけではないのに(全日本で)使ってもらえないと他の学生の頑張りにもつながっていかない。実際、調子がいいですし、昨年6区で2位になっているので、自信はあるんじゃないかと思います」
6区の國行麗生(左)は区間2位の走りで、トップで襷を渡した
國行は、そんな期待通りの走りを見せてくれた。
2 / 7