東海大の夏合宿。「駅伝のスパートが変わる」高地トレーニングに密着 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 フリータイムは寝るか、スマホをイジるか、コンビニに行く程度。スマホは午後9時に回収され、9時30分には消灯になる。練習に集中できる環境で規則正しい生活が合宿中、続くのだ。

 *     *     *

 トラックでは選手が集団で走っている。1本、2本、3本と設定タイム内でしっかりと走り終えた。4本目で日本インカレ組はラストとなり、設定タイムは9分5秒だ。1周ごとにラップを読み、指示を出す。残り2周、館澤が苦しそうに歯を食いしばって走る。

「館澤、こういうところ大事だぞ、自信を持って走れ」

 西出仁明(のりあき)ヘッドコーチの声が飛ぶ。三上、館澤、松尾淳之介(2年)の3人はピッチを上げる。ラストスパートを意識して、力を振り絞って駆け抜けた。

「8分56秒!」

 ひとりも離れることなく、設定タイムより早く走り終えた。最後1周、先頭で引っ張ったのは松尾だった。軽快な走りで「いつもこのくらいレースでやってくれると文句ないんだけどなぁ」と、西出ヘッドコーチがイジる。

「久しぶりにいい走りができました」

 松尾は笑顔で返した。館澤は汗びっしょりで肩で息をしている。

「調子、微妙ですね。キツイです。松尾は絶好調ですけど」
「いや、おまえの方が絶好調やろ」

 松尾が苦笑して言い返す。館澤はゼリー飲料を飲み、息を整えている。

「自分は最近、ようやくって感じですね。7月に欧州に行っていたんですが、けっこうメンタルブレイクしていて、マジで調子悪かったんです。食事が合わなかったですし、2週間で4レース走ったのでかなり疲れていました。1次合宿はその疲れがピークの状態だったんで、ほんとヒドかったです」(館澤)

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