【月報・青学陸上部】反骨のランナー・中村祐紀が全日本駅伝にかける思い (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「絵を描いていると逆にストレスたまりそうって言われるけど、落ち着くんです。携帯の画像を見て、マンガとか、わりとタイムリーなものを模写しています」

 最近は『君の名は。』を模写したという。絵がうまいのは優れた才能のひとつ。走ることの才能にも長けているが、中村はランナーとしての自分を「中間層」と評する。

「僕は上位層じゃないです。安定して区間をしっかり任せられるようにならないと上位層とは言えない。みんなにおおっぴらに言うと『えぇ?』って言われるので言わないですけど、現実をわかっていないといけないと思うんです。僕は、自分のことを過小評価も過大評価もしません」

 リアリストだが、自分がどうすべきかは見えている。監督の望む走りを実現し、どの大会でも重要な区間を任される存在になる。それができなければ名前が上位層にあっても意味のないことなのだ。そして、トップランナーになるという野望がある。そのためには今シーズン最初の駅伝となる全日本での快走と結果が重要になる。

「いま、本当にチームのみんなの調子がいいので、僕は走れて"つなぎ区間"だと思います。長い距離は夏合宿の後半からやってきているので不安はないですし、短い区間であれば、前半から突っ込んだレースをしていきたい。いずれにしても任されたところで区間トップを取りたいですね。それを箱根につなげたい。昨年9区を走って力を発揮できなかったので、今年はもう1回9区を走ってリベンジを果たす。それを最大の目標にしてきたので」

 中村にとって全日本は箱根への通加点に過ぎないのかもしれない。しかし、結果を出さなければ箱根が霞む可能性だってある。メンバー争いが激しい今季はちょっと隙を見せると、すぐに取って代わられてしまう、そんなレベルの高い競争の厳しいチームになった。

 それでも目標はひとつだ。

 箱根9区でリベンジを果たすために、全日本では圧巻の走りを見せる。 

(つづき)

■陸上 記事一覧>>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る