【月報・青学陸上部】大苦戦の全日本大学駅伝。裏で何があったのか
極私的! 月報・青学陸上部 第16回
全日本大学駅伝回顧 前編
全日本大学駅伝―――。
アンカーの一色恭志が49秒差を跳ね返し、さらに1分以上の差を2位の早稲田大につけて伊勢神宮にやってきた。沿道のファンから大きな声援が送られる。
「タダシ、タダシ!!」
各区間を走った仲間たちが一色の名前を呼んでエースのゴールを待ちわびている。その刹那、一色は力強い走りで両手を大きく挙げ、ゴールラインを切った。
8区でまくった鮮やかな逆転優勝。
青山学院大学は、6回目の出場で悲願の全日本大学駅伝優勝を果たしたのである。
全日本大学駅伝は11月6日午前8時5分、熱田神宮をスタート
大会当日午前3時、外はまだ真っ暗だ。
前日の午後8時に就寝した下田裕太(3年)と田村和希(3年)が起床。体を動かして朝食を摂り、午前6時過ぎに名古屋市内のホテルを出発した。1区を走る下田のサポートにはマネージャーの小関一輝が付き、すでに熱田神宮のテント張りの待合所で待機していた。田村和はサポート役の安藤弘敏コーチとともに2区のスタート地点に向かった。
熱田神宮の選手のアップスペースには各大学のテントがある。他大学は前面を開いてオープンにしていたが、青学だけが開かずのテントになっていた。その中で下田は入念にストレッチをしていたのだ。スタート20分前、トイレタイムのために外に出てきた。
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