【月報・青学陸上部】3冠に王手。接戦だからこそ見えた底知れぬ強さ
極私的! 月報・青学陸上部 第17回
全日本大学駅伝回顧 後編
全日本大学駅伝初優勝の青学大、アンカー一色恭志
全日本大学駅伝初制覇を狙う青学大は苦しい展開に追い込まれていた。
2区の田村和希(3年)がトップに立ったが3区で離され、さらに監督が期待した4区安藤悠哉(4年)の走りが伸びなかったのだ。
5区(11.5km)、小野田勇次(2年)は強い向かい風をものともせず、力強い走りで前を追った。1分以上離れていると前が見えないので気持ち的に難しく、タフな走りが必要だが、単独走は嫌いではない。
小野田は夏季の妙高3次合宿以降、調子を上げてきた。御嶽2次合宿のクロスカントリー走では体がブレ、顎(あご)が上がり、遅れることが多かった。「体幹が弱く、才能だけで走っている」と佐藤基之トレーナーから指摘されたが、その後は体幹をつくり直し、安定した走りができるようになった。
「夏のクロカンとか、アップ&ダウンがあるとリズムが取れなくて、すぐに疲れてしまうんです。だから夏はキツかった。でも、妙高が終わって疲れが取れてきてからは気持ちよく走れるようになりました。ただ、基本ロードが苦手というか、あまり印象よくないんですよ」
小野田にはトラウマがあった。
高校2年の時、8kmのコースを走る中、3kmでガス欠になった。高校3年の時も最初に突っ込んで最後がダメだった。
「高校の時は、そういうレースしか経験していなかったのでロードで走るってことに、あまりいいイメージがなかったんです」
だが、今年1月の箱根駅伝は難しい6区を一気に駆け抜け、下りのエキスパートとしてその名を上げた。原晋監督も「小野田の走りが大きかった」と、その走りを絶賛した。
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