【月報・青学陸上部】大苦戦の
全日本大学駅伝。裏で何があったのか (3ページ目)
「取れんかったかぁ」
原晋監督は給水に失敗した下田をモニターで見て、「影響が出んといいけど」と顔をしかめたという。
1区の途中で監督バスと報道バスが止まり、選手が走ってくるのを待つ。先頭の服部から遅れること20秒、下田がやってきた。
「いいよ、そのまま粘れ!!」
原監督が大きな声を掛ける。しかし、下田の足取りは重く、前に出ていかない。自分でも歯がゆさを感じているような走りだ。そのままペースが上がらず、下田は予想外の8位に終わったのである。
いったい下田に何が起きたのか。
「スローな展開からいきなりレースが動いて対応できなかった。給水を取ってからゆっくり上がっていけばよかったのかなと思うんですけど、弾馬(服部)さんがそのままどのくらい突っ込んでいくのかわからなかったので、自分も行くしかないと思い切り付いていったんです。それが響いて後半ペースダウンしてしまいました。
東洋大は弾馬さんを僕にぶつけてきたけど、なめられているから絶対に勝ってやるくらいの気持ちが必要なんですよ。その気持ちがないことはないけど、言うだけになっている。それじゃダメですし、2年の時は自信を持って何も恐れずに走れたんですけどね。今は上級生になって引っ張っていかないと、という気持ちが強くて。メンタルの問題です」
下田は悔しさを噛み締めていた。
原監督の序盤の予想は「1区は服部くんが前に出る。15秒ぐらい遅れても2区の田村で取り戻せばいい」というものだった。トップの東洋大との差は30秒。タイム差は少しあったが、展開はほぼ想定内だった。
2区(13.2km)の田村和は、快調に飛ばしていた。出雲駅伝では2区で区間賞を取り、日体大記録会5000m(10月23日)では自己ベストを更新。大会前の富津合宿でも好調を維持し、一色とともにチーム内で最も頼れる男になっていた。
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