【月報・青学陸上部】まずは出雲駅伝へ、選手たちのギアが上がった (4ページ目)
「暑くなく涼しかったので、まだまだいけると思っていましたし、普通は遅れ出すとズルズルいくパターンだったんですけど、相手の内側についていくことができていました」
残り3周だ。先頭のパトリック・マゼンゲワンブイ(日大)がギアを上げ、スピードを速める。一色は4位のまま。田村和が加速して5位に浮上、一色の後に必死に喰らいついていく。
ラスト1周の鐘が鳴った。
残り2周の半ばからスパートを仕掛けたパトリックが2位の新迫志希(早大)ら後続との距離を一気に広げる。その後を驚異的なスピードで石川颯真(日大)が追い上げてきた。一気に2位に上がり、トップを追う。一度は4位に落ちた一色はラストのスピードが今ひとつ伸びない。だが、ホームストレートで新迫をかわして3位(13分54秒60)でフィニッシュ。逆に田村和はホームストレートで平和馬(早大)に抜かれて6位(13分58秒16)に終わった。
「悔しいですね。後半、合宿の疲れで体が重かったので、普通ならもっと伸びたと思うんですが......」
田村和は汗で濡れた表情でそう言った。
悔しさを見せつつも田村和にとっては、よくここまで戻ってこられたという感じだろう。春の世田谷記録会5000mで13分50秒43を出し、自己ベストを更新。5月の関東インカレ2部5000mでは4位に入り、自分の走りに手応えを感じた。その1週間後、世田谷記録会5000mでは日本選手権の標準記録突破を狙った。ところが好調の田村和に水を差すような"事件"が起きた。
「関東インカレが終わってから、おたふく風邪にかかったんです。もう体中が痛くて、何も食べられなくて寮で隔離されました(苦笑)。それで10日間ぐらい休んで、かなりコンディション的に落ちてしまって......。そこからまた上げていったんですけど、7月の世田谷(記録会)はコンディション的に春のタイムを出すのは難しい。それでも13分台を出せればと思っていたら、ギリギリ出せてよかったんですが、最初の夏季合宿で今度は暑さにやられました。毎年、山あり谷ありです」
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