【陸上1万m】鈴木亜由子と関根花観。連係の走りでリオ五輪の上位へ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriya Toshimi
  • 岸本勉/PICSPORT●写真 Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 関根は「ラスト1000mからはどっちが引っ張るということにはならないだろうと思っていたけれど、9000mまでは2人で力を合わせていければと話していた」と言う。一方、鈴木は「本当は自分がもっと引っ張る予定だったんですが、練習中に足の痛みも出て不安もあって......」と言うように、途中で走りのリズムが少し乱れる場面もあった。だがそこは関根がカバーし、2000mから4000mまでを引っ張り続ける気持ちの強さも見せた。

 5000mを通過すると、先頭集団は徐々に人数が絞られ、関根が5700mからペースアップ。それについたのは鈴木と31分37秒32を持つ高島由香(資生堂)のみで、その時点で3人が五輪代表にほぼ王手をかける展開になった。

 それでも鈴木と関根の挑む気持ちは衰えなかった。鈴木が6800mからペースを上げると、高島と関根とのマッチレースになってからも鈴木のペースが緩むことはなかった。逆に関根は「ラスト1000mになると私が不利になるから、その前に勝負しようと思って」と8000mから前に出る。レースは、関根が先頭で9000mを通過したが、9200mからは鈴木がロングスパートをかけて関根を突き放し、自己記録に迫る31分18秒73で優勝して五輪代表に内定。関根も派遣設定を突破する31分22秒92で2位になり、五輪代表を確実にした。

「ケガもなく安定した練習ができていて、今までで一番調子がいい状態でレースに臨めました。できればもう少し亜由子さんに近い位置でゴールしたかったんですが、あそこまで離されたのは今の実力かと思います。早い段階で仕掛けることができたと思うので、納得がいくレースができました」と関根は少し満足した表情を見せる。

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