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桐生だけじゃない。9秒台を狙うスプリンター、髙瀬慧に注目! (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Nakamura Hiroyuki

 今年のシーズンイン直前、その髙瀬の表情に明るさが戻る。「去年も100mのスピードを上げて200mにつなげようと思ってやったけど、結局うまくいかなかった。でも、今年はつながるという手応えを感じている」

 手応えをつかむきっかけとなったのが、昨年9月末のアジア大会だ。夏場にどん底まで調子を落としながらも、100mの準決勝と決勝が行なわれる9月28日に照準を合わせて仕上げ、準決勝では10秒13の自己タイ。決勝で中国の蘇に競り負けたが10秒15で銅メダルを獲得した。

「あの時、100mのレースの感覚がつかめた。今まで積み重ねてきたものが一気に自分の中へ入ってきたんです。それまではコーチから『自分の走りをしろ』と言われても、どうすればいいのかわからなかった。それが、アジア大会ではすべてが研ぎ澄まされて、感覚的にわかった」

 その後髙瀬は、世界大会の200m決勝進出を目標に、日本選手権の100mと200mで2冠を狙うことを自然と考えるようになった。そして、シーズン終了後にはフォームの改良を意識して、筋力づくりから取り組みを始めた。

 その成果が出たのは、桐生が9秒台で走った今年3月のテキサスリレーだった。200mで追い風参考ながら20秒09を出したのだ。5月10日のゴールデングランプリ川崎では、向かい風0・1mのなか10秒09で走り、中国の蘇を0秒01抑えて2位になった(優勝はウアウィルフリード・コッフィ/コートジボアール)。

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