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北京パラ出場へ期待の3人。パラアイスホッケーの新星が飛躍的に成長中 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 幼少期から野球に親しんだ。高校時代は激しい競争社会のなかで結果を残すことに囚われすぎ、「自分を見失い、空回りしていた」。だが、その経験が今の思考につながっているという。

「たとえば、パラリンピックの日本代表になることが大きな目標だけど、今はそのひとつ前に照準を合わせられるようになったんです。スケーティングができたら、次はフォアチェックをものにしよう、という明確なステップが捉えられるようになってから、緊張もしなくなりました」

 信田監督は、「石川も頭がよく、攻撃と守備の2wayでプレーできる選手。たとえ失敗したとしても、それを繰り返さないように次にどうしたらいいかを瞬間的に考えられる状況判断力が優れている」と話す。信田監督によれば、強化合宿の成果もあって、チーム内では不動のセンターの吉川守(長野サンダーバーズ)との連携が各段に向上しているといい、ベテランと若手の融合の実現に期待を寄せている。

 3人目は、1987年生まれの新津和良(にいつ・かずよし/長野サンダーバーズ)。2018年9月から本格的に競技をスタートし、翌年の世界選手権Aプールには日本パラアイスホッケー協会の次世代育成選手ながら日本代表に選ばれた。強化指定選手となった現在はさらにスケーティングに磨きをかけ、チーム内での存在感を高めている。信田監督は「(屈指のスピードを誇る)クマさん(熊谷昌治/長野サンダーバーズ)に匹敵するくらいの動きができるようになってきた。海外の選手は彼の成長に驚くのではないか」と評価する。

 新型コロナウイルスの影響で活動自粛を余儀なくされた昨年、4カ月半ぶりに再開された7月強化合宿で、新津は明らかにレベルアップした姿を披露した。「自粛期間中をどう過ごすかが、のちの結果に出ると考えていた。ここで差をつけようと思った」と言うように、個人でリンクを借りて滑り込むなど、コロナ禍での練習環境づくりに注力。努力で結果を出し、チームメートのやる気に火をつけた。

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