北京パラ出場へ期待の3人。パラアイスホッケーの新星が飛躍的に成長中 (2ページ目)
今春、大阪の高校に進学した。日本代表候補の強化合宿参加時等は公欠扱いになるといい、競技に集中することができる。クラブチームの練習と月2回の強化合宿、それに加えて古巣の臨海ジュニアアイスホッケークラブでの個人練習と、週に3回は氷上でトレーニングする。そこで見るのが、スマホに保存したファーマーのドリブル動画集だ。
「この映像を見て、"今回は俺もこのプレーができるようになる!"とテーマを決めてリンクに乗っています」
信田憲司日本代表監督は伊藤について、「彼はパスレシーブの基本やシュートのタイミングもわかっている。ほかの選手が持っていないようなホッケーセンスがあるので、それを活かせる選手に育てていきたい。年齢的に持久力系では少し苦労しているので、試合経験を積ませながら、しっかりと身体を作って、最終的には世界に通用する選手になってもらいたい」とコメントしている。
2人目は、1998年生まれの石川雄大(東京アイスバーンズ)。高校卒業後に骨肉腫を発症、治療の影響で脚が曲がらない障害を抱えている。スレッジに座り、脚を伸ばした状態でプレーするパラアイスホッケーを始めると、すぐに頭角を現した。
石川の強みは修正力の高さ。自分のプレーを俯瞰で見ることができ、課題や発見を成長の糧にすることができる。今季の第一次強化合宿でもベテラン勢に食らいつき、動きにもキレがあったが、「自分はパックを持った時のプレーの選択肢が少ない」と冷静に分析する。
ただ、これはスケーティングなどの基礎技術が上達し、次の段階に進んだから見えてきた課題だ。「語弊があるかもしれませんが、僕はチームや世界よりも、自分がうまくなるためにはどうしたらいいかをずっと考えています。個人のスキルアップがチームのためになると思っているからです。脳みそをフル回転させて、失敗を恐れずに勇気をもって挑戦して、課題をひとつずつ潰していく。それを積み重ねていきたい」
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