「俺は最強だ!」の不屈のメンタル。国枝慎吾が2年ぶり全豪制覇で雄叫び (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 約5年ぶりにタッグを組むと、頂点に至る苦しみも、その地位に居続ける困難も共有してきたクイーンの言葉は、心地よく身体の隅々まで染みわたる。

 すでに備わっていた新たな技と身体に、最後のキーパーツである"心"が加わり、国枝は再び「俺は最強だ!」と信じて走り始めていた。

 迎えた2018年。

 国枝は開幕戦のシドニー大会で優勝するという、最高のスタートを切る。翌週のメルボルン大会では、長年のライバルであるステファン・ウデ(フランス)にフルセットで敗れるも、リベンジの機は直に訪れた。

 それが、全豪オープンの決勝戦。決戦の場は、同会場の第2コートに位置づけられるマーガレット・コート・アリーナだ。

 息苦しいほどの酷暑のなか、7,500人を収容するアリーナに、ウィールチェアが激しくコートを駆ける金属音と、両選手の荒い息使いが響く。とくに国枝は、大柄なウデが豪腕から放つ高く弾むスピンショットを、一打一打に裂帛の気合を込めて打ち返した。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る