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ザンビアで武者修行。視覚障害者柔道で
東京のメダルを目指す半谷静香 (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 佐山篤●写真 photo by Sayama Atsushi

 仲元コーチも、半谷の変化を実感しているという。「あのカルメンにも、もう勝てると思えるところまできました。私の感覚なんですが、彼女は一番面白い柔道をすると思っているんです。もっと変化できるし、何かやらかしそう、と感じる。ザンビアに行ったのも、半谷には、とにかくいろんな経験を積んで殻を破ってほしかったから。私自身は言葉が通じない現地の人にどう柔道を教えたらよいのかを探る毎日だったけれど、見えない半谷に教えるという点では似ていると思いましたし、行ってよかったと思いますね」と話す。

 今の半谷にとって柔道を続ける上での原動力になっているのが、この仲元コーチの存在だ。「これまで自分はダメだと思っていたことを、コーチは『そんなに悪くない、やればできる』と言って、上に引き上げてくれる。本当は強くないけれど、いい意味で勘違いを重ねていけるんです。そのおかげで、強い気持ちで試合場に入れるようになりました」

 最近では出稽古で大学生に勝てるようになり、前述の10月のワールドカップでも世界大会では自身初となる銅メダルを獲得している。ただ、確実に成長を遂げる半谷だが、世界の壁はまだまだ高い。今回の全日本ではカルメンのほか、韓国のオ・ヨンジュに大内刈りと寝技を取られて敗れた。仲元コーチによると、この選手は弱視で、もともと健常の世界大会に出ていた選手だといい、たしかに試合では、組んで始める視覚障害者柔道では少ない、距離を保った組み手から相手の懐に飛び込む柔道を展開していた。半谷も「これから彼女のように健常者に近い柔道をする人が増えてくるので、しっかり対策をしないと」と警戒する。

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