初のプロリーグに参戦した吉田知那美が思い描くカーリングの未来「新たな動きが起こっている実感がある」 (3ページ目)
にもかかわらず、彼女たちはあえて試合数を減らしました。「試合を減らしても、不安になる必要はない」と自分たちで話し合って、その決断を信じてオリンピックへ向けて準備を進めてきたと言います。特にアジアやヨーロッパのチームが夏の大会を戦っている間など、SNSなど外部の情報も意図的に避けたりしながら、過ごしてきたようです。
その結果、金メダルを獲得。「私たちは経験があるから」とアンナは言っていましたが、「経験を力に変えるって、こういうことなんだな」と痛感しました。同時に、本当にほしいものを考えて取捨選択すること、全部勝とうとしないこと――そういう強さもあるのだなと勉強になりました。
――吉田選手のロコ・ソラーレでの最後の試合は世界選手権になりました。ロコ・ソラーレはこれまでも、土壇場で力を発揮したり、窮地に追い込まれた状態から這い上がってきたり、ということが多かったのですが、その世界選手権の代表権を得たのも、最後の最後で世界ランキング国内最上位になったからでした。
吉田 もちろん狙ってやっているわけではないのですが、どうしても"劇場型"になってしまうというか......。応援してくれる皆さんには「心臓に負担をかけてごめんなさい」と思っていました。
そして結果的に、(ロコ・ソラーレでの)最後の試合が世界選手権。しかも、カナダでのホームタウンであるカルガリーでの大会になったのですから、我ながらよくできた物語のなかで過ごさせてもらったなと思っています。
――その後、チームを離れて、4月にはカーリング初のプロリーグ『ロックリーグ』に参戦。吉田選手は、アジア・太平洋地域チームのタイフーンのキャプテンとして出場しました。カーリング界において、また新たな一歩を刻んだ心境を聞かせてください。
吉田 これまでのカーリングは世界選手権やオリンピックが開催されるたびに、ルールやプロモーションを含めてカナダ主導で「こういうエンターテインメントにしていきたい」「カーリングはこうあるべきだ」という議論がされてきました。
でも、その答えは決してひとつではないと思っています。これまではカーリング界の未来を描ける人は限られていましたけど、『ロックリーグ』という新しい頭脳というか、新しい考え方やアイデアをすぐに実践できる瞬発力のある機関が誕生したことで、これまで以上に選手や関係者たちの間で、ルールに関する議論やカーリングというスポーツの未来に関する会話が活発になっています。新たな動きが起こっていることを実感しています。
3 / 4


