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競輪・松井宏佑が語るレース前の祈りと「僧侶になりたい」の真意 過酷な4部練、先輩から叱責されたレースも明かす (5ページ目)

  • text by Sportiva

ビッグレースでも存在感を発揮する松井 photo by Manabu Takahashi ビッグレースでも存在感を発揮する松井 photo by Manabu Takahashi この記事に関連する写真を見る

【いずれは僧侶に】

 松井が日々ハードな練習に取り組むのは、タイトルへの渇望があるからだ。今ターゲットにしているのが、ホームバンクの平塚競輪場で開催されるGⅠ「日本選手権競輪」(5月1~6日)だ。

「ダービーで結果を出すのが今の一番大きな目標です。もし優勝できたらグランプリの出場もあるので、それに向けて今頑張っています」

 松井はこれまでGⅠ決勝に6度進出しているが、あと一歩のところで優勝できておらず、獲得賞金ランキングでもギリギリのところで「KEIRINグランプリ」の出場権に届いていない。ビッグタイトルの獲得は松井の悲願でもある。

 そんな松井に今後の競輪人生の目標について聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

「選手は長くやらないかもしれません。実家がお寺ですし、僧侶になりたいという思いもあります。選手を長く続けると、そこから修行をして僧侶になるのは現実的に難しいかもしれませんので、競輪に満足したら、その道も考えています」

 松井は幼い頃から家の手伝いをし、中学・高校時代は「お盆参りで各家を回ることもしていて、そこでお経を唱えていた」という。読経をすることで他人から感謝されることを経験し、いつしか「こういうことを自分もやってみたい」と考えるようになっていた。

 高校はスピードスケートに打ち込むために名門校を選んだが、そこでは仏教専修科を選択し、修行も経験している。そのころから将来の姿を描いてきたのだろう。

 松井のこれまでの紆余曲折の人生、練習への取り組み方を知るにつけ、この先どんな道に進んだとしても、日常生活の一つひとつに向き合い、決して手を抜くことはないと思えてくる。その姿勢から我々は学ぶべきことがあるのではないだろうか。松井の走る背中から伝わってくるものをしっかりとキャッチしていきたい。

【Profile】
松井宏佑(まつい・こうゆう)
1992年9月24日生まれ、北海道出身。中学からスピードスケートに励み、大学時代にはナショナルチームの強化指定選手となる。その後、競輪選手を目指し、2017年24歳の時に日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入学。翌年デビューを飾ると史上3番目の早さでS級2班へ特別昇級を果たす。ナショナルチームでも活躍し、2019年6月、初の国際大会となるモスクワグランプリのケイリンでいきなり優勝すると、同11月のワールドカップのケイリンで銅メダルを獲得する。2022年9月から競輪に専念。持ち前のパワフルな走りでビッグレースの常連選手となり、現在はS級1班として活躍している。

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