競輪・松井宏佑が語るレース前の祈りと「僧侶になりたい」の真意 過酷な4部練、先輩から叱責されたレースも明かす (2ページ目)
松井の父が必勝祈願した用紙がずらりと並ぶ 写真:本人提供この記事に関連する写真を見る ちなみに曹洞宗の基本的な修行法は座禅だ。これは「只管打坐(しかんだざ)」と言われ、ただひたすら静かに座り心を整えることを意味している。また挨拶、掃除、調理、食事など、日常生活のすべてを修行と捉えていることもこの宗派の特徴のひとつだ。
松井にもこれらの教えが染みついているか、前述の会見での落ち着いた雰囲気も納得できるところがある。また日々の練習にも手抜きがない。いやむしろ尋常ではないほどの練習量と言っていいだろう。
「この寒い期間でしっかりと体力をつけてパワーもつけていきたいと思っていて、今は1日のもがく本数を増やしています。朝は6時半から朝練をやって、その後に街道でもがいて、またバンクに戻ってきて師匠とバイク練習をして、その後にジムに行ってトレーニングしてと4部練みたいになっていて、『これ、やばいな』って自分でも思っています(笑)。もう夜は8時、9時には寝ていますね」
これらはすべて自らが望んで取り組んでいるメニュー。まさに修行というにふさわしい日常だ。
【スピードスケートから転向】
現在33歳の松井は競輪の上位クラスにあたるS級1班に所属する強豪選手のひとり。ここ数年は安定して好成績を残し、昨年は春のGⅠ「日本選手権競輪」(通称ダービー)と秋のGⅠ「競輪祭」で決勝まで進出している。
自身の走りを「脳筋レースみたい」と自嘲気味に語るが、その姿はまさに勇猛果敢。「僕は力でいくレースが多い」というように、先頭を切って後続選手を力強く引っ張っていく潔いタイプだ。そんな彼のパワフルな走りの原点は、世界を目指して挑み続けたスピードスケートにあった。
北海道出身の松井は小さい頃からスケートに慣れ親しんでおり、中学から本格的にスピードスケートに打ち込んだ。高校はスピードスケートの名門・駒大苫小牧高校に進学。オリンピックへの出場を夢見て、3年間みっちりと練習に励んだ。
さらなる成長を目指して専修大学に進み、1年時に全日本ジュニア選手権スピードスケート総合3位、世界ジュニア選手権スピードスケート パシュート4位と結果を出した。ナショナルチームの強化指定選手になったこともあり、「このままいけばオリンピック出場もゼロではないと感じていた」という。
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