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スキー・小林陵侑、自転車・中野慎詞が互いの風洞実験に興味津々 自転車の価格には「スポーツカーが買える」と驚嘆 (3ページ目)

  • text by Sportiva

【1台2,000万円に驚き】

――使っている道具へのこだわりはありますか。

小林 それはめちゃくちゃあります。開発している方と夏場からずっとディスカッションをしている状態です。微調整に関してはシーズン中もずっとしていますね。スキーの板が大きく変わることはないんですが、スーツはすごくセンシティブです。そういう競技なので、悩みはありますね。

中野 どんな悩みがあるんですか。

小林 脚の長さや腕の長さ、お腹周りなど、自分の体の基準値にスーツが合っていればいいんですが、生地の厚さや通気量などは限られています。昨シーズン、ノルウェーがスーツを加工する不正を行なったことにより複数の選手が失格になりました。それで僕は世界選手権で繰り上げで3位になったんですよ。それに毎年のようにルールが変更になるので、いたちごっこの状態です。不正がばれなければ勝ち、みたいな風潮すらあります。

――中野選手の道具へのこだわりはどうですか。パリオリンピックで使用していた自転車はかなり高額に見えましたが。

中野 1台2,000万円です。

小林 すごい。スポーツカーが買える。

中野 その自転車の画像があるので見てほしいんですが。

パリオリンピックで中野が使っていた自転車 photo by JMPAパリオリンピックで中野が使っていた自転車 photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る小林 これは空力を考えて作られているんですか。

中野 そうです。風洞実験をやって自転車を作り上げていきます。最初は海外製でしたが、日本も作り始めてすごく性能が上がりました。たとえば、自転車のクランク()の位置が左右逆になる分だけ数パーセント空力がよくなります。実は自転車単体だとすごく空力が悪いんですよ。
※ペダルにつながるアームやギア部。通常は右側にある

小林 そうなんですね。

中野 人が乗ると空力がよくなるんです。脚のうしろ側に(後輪の)フォークなどの部品が来るので、風の流れがよくなります。それで空気抵抗を低減していくんです。スキーもきっとやっていますよね。

小林 僕らは脚の開き方を変えたり、スキーの板の角度を変えたり、手の位置を変えたりします。僕らはアプローチ以外だと正面からの風はほとんどなくて、斜め下からの風圧になります。海外に斜め下からの風を受けられるところがあって、そこに行って実験を行なうことがあります。

中野 それは飛んだ状態で風を受けるんですか。

小林 板をつけて吊るされた状態でやります。そこでジャンプのスーツを着て浮いてみたりします。数値での測定もできますが、感覚的にも安定している状態が一番いいというのはわかりますね。

中野 年間に何度か行ったりするんですか。

小林 昨年は2回行きました。その時は12時間くらいやっていましたね。

中野 それだけの価値があるということですね。

小林 そうですね。これを経験することによって、実際に飛んだ時に風圧に耐えられたりします。スキージャンプはヨーロッパのカルチャーということもあって、強豪国は合宿の場所としてそこに行ったりしていますね。

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