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実況アナウンサーから発信者へ 豊原謙二郎がNHK退局を決意し、スポーツの価値を問い続ける理由 (4ページ目)

  • 一ノ瀬伸●取材・文 text by Ichinose Shin

── 今春退局する前から、何か準備はしていましたか。家族はどんな反応でしたか。

豊原 具体的な準備は全然してなかったです。でも、数年前から心のなかで辞めようかどうしようかと考えていました。家でもかみさんにぶつぶつと言っていたので、だんだんと本気だなと思われたのか、いざ辞める時には反対されませんでした。「お金を稼ぐ計算はあるんでしょうね?」とは言われましたが(笑)。

── あらためて今後の目標を教えてください。

豊原 生臭い目標ですけど、まずは会社をしっかり成長させて黒字化したいです。そのうえで、自分たちだけで社会を変えるのは難しいですが、スポーツの価値を浸透させていくムーブメントのひとつになれたらいいなと。コロナのようなパンデミックは二度と起きてほしくないですが、また社会が難しい状況になった時に「今こそスポーツだ」という声がたくさん上がる世の中になったらいいなと思います。

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豊原 謙二郎(とよはら・けんじろう)
INFINITY MOMENT」ファウンダー・CEO、元NHKアナウンサー/1973年生まれ、神奈川県藤沢市出身。1987年の「雪の早明戦」を見てラグビーに憧れ、湘南高校時代はラグビー部主将を務めた。早稲田大学卒業後の1996年にNHK入局。スポーツ実況でキャリアを積み、2015年と2019年ラグビーW杯の実況を担当。2019年、日本が勝利したアイルランド戦の「奇跡とは言わせない!」など記憶に残る言葉を残した。2021年の東京五輪では開会式実況を担当し、2020〜2024年には『サンデースポーツ』キャスターを務めた。2025年3月にNHKを退局し、現在は起業した会社の代表やフリーアナウンサーなどとして活動している。

著者プロフィール

  • 一ノ瀬伸

    一ノ瀬伸 (いちのせ・しん)

    ライター・編集者/1992年、山梨県市川三郷町生まれ。立教大学社会学部卒業後、山梨日日新聞記者、雑誌「山と溪谷」編集者などを経て2020年からフリーランス。「webスポルティーバ」では競技問わず企画・編集を主に行なう。自身は元高校球児でアンダースロー投手だったが、目立った活躍はなかった。

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