実況アナウンサーから発信者へ 豊原謙二郎がNHK退局を決意し、スポーツの価値を問い続ける理由 (3ページ目)
── 長年のキャリアが生かされていると思いますが、個人での活動の苦労とは。
豊原 今は自社のスタッフもいませんので、インタビューの構成はもちろん、撮影クルーの手配からタイムスケジュールも作成して......と全部ひとりでやって、なんだかNHKの初任地(佐賀)時代を思い出しました。意外とやれるなとは感じた一方で、体力は確実に落ちているので疲弊しちゃいましたが(笑)。
NHKのアナウンサーは企画や構成も含めてすべてできないとなかなか評価されないので、その経験は生きていると思います。とくに『サンデースポーツ』の時は、ある程度キャリアを積んでいたので、自分が面白いと思ったものをいろいろ積極的に取材していました。
── 課題は?
豊原 自分を前へ出していくというところかもしれません。NHKのスポーツ実況では、テレビはとくに解説者の方にたくさん質問をしてしゃべってもらうのが、見出した自分のスタイルだったんです。自分が消えていくスタイルというか。でもいま個人の身でそれをやると本当に消えちゃうので(笑)。豊原のYouTubeだから来てくれるというふうにしていかないといけないですね。
【NHK退局を決断した時の家族の反応は?】
── テレビを含め他メディアと自身のコンテンツはどう差別化の戦略はありますか。
豊原 五郎丸さんのインタビューも1時間くらいノーカンペで行ないました。自分がその時間のなかでどう聞ききるか、というのはひとつのコンセプトです。細かい編集は加えずに尺も長めに設定して、対話しているという感じを大事にしたいです。
たとえば、『サンデースポーツ』でのインタビューは長くても7〜8分。総合テレビだと、『クローズアップ現代』で大谷翔平選手の特集でも15分くらいです。それはもちろん中身が凝縮されたよさもありますが、やっぱり面白い話がお蔵入りしてしまうケースもある。そのあたりはYouTubeのよさを存分に生かしていきたいですね。
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