フェンシング・宮脇花綸が振り返るパリ五輪――念願のメダル獲得が実現できたわけ (3ページ目)
――先にも少し触れてもらいましたが、個人戦で3人とも初戦で敗れたあと、そこから団体戦に向けてどう気持ちを切り替えていったのでしょうか。
「個人戦ではいろんな人に『緊張しないでね』『楽しんでね』と言われていたので、『初めての五輪は緊張するんだ』と思って緊張しないことを意識したら、緊張感がまったくなくて(苦笑)。あれだけの会場で、相手もフランスの選手だったので、コーチからも事前に『アウェーで歓声もすごいし、応援もすごいから』と言われて、それを気にしないようにしようと理性的になりすぎたのが、逆によくなかったのかなと。
それに、個人的には個人より『本命は団体戦』という思いがあって。ですから、団体戦に向けては、結構緊張感を持って臨みました」
――団体戦の初戦はポーランド。当然、勝ちにいった試合だと思います。
「そこを勝たないとメダルは獲れないし、正直5位~8位はどうでもいいというか、そちら(5-8位決定戦)に回ることは考えていませんでした。(試合前に)ポーランドに勝つにはこういう展開に、という話をみんなでして。最初はリードを奪われても、早いうちに取り返して、勝っている状態でその後の選手に回せればいい、と。
それで実際、2番目の上野優佳選手と3番目の私のところで逆転できて、すごくいい形でいけました。あとは、みんな5点ずつ取ってつなげて、6試合目で30対18。おおよそ大勢は決しました。ポーランドの4人目の選手とはみんな相性がよくなったんですけど、結局(試合に)出てこなかったことも幸運でした」
――続く準決勝の相手は世界ランキング1位のイタリア。39-45で敗れました。
「イタリアは一度も勝ったことがない相手で、(日本の)3人全員の調子が本当によくないと勝てないのはわかっていました。実際に強さも感じました。それでも、万全の状態で負けたとか、ギリギリ勝てなかったとかではなかったので、3位決定戦に向けてすぐに気持ちを切り替えることができました。
(3位決定戦で戦う)カナダには負けたことがなくて、やりにくい相手ではあるけど、自分たちの試合をすれば勝てる相手でした。ですから、みんな『絶対にメダルを持って帰ろう』という気持ちが強かったと思います」
――結果的に、3位決定戦はロースコアでの大接戦となりました。
「ロースコアになるのは想定内でした。ただ、リードされると追いつくのが難しい相手なので、絶対にリードを許さないでじわじわと差を広げていく形を描いていました。
でも、カナダは個人戦でも3位になった(エレノ・)ハービー選手が好調で、3点リードからなかなか突き放せなくて......。相手の本気も伝わってきて、かなり苦しい展開でしたが、最後の上野選手に3点リードでわたって。そのとき、彼女は勝ちきるタイプなので、負けないと思っていました。1点差になったときも大丈夫だと信じていました」
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