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「君は何人?」からのナショナルチーム入り ガールズケイリン太田りゆが東京五輪スタンド観戦の悔しさを忘れないための写真とは (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro

【東京五輪の悔しさから再挑戦を決める】

「ただナショナルチームに入ってからは決して順調ではなかったですよ。最初の世界選手権には力不足で出られなかったですし、合宿に連れて行ってもらえなかったこともあります。競輪学校の同期はガールズケイリンだけに専念して活躍していて、うらやましいなと思ったこともあります」

 だがその後、実力を伸ばし、ナショナルチームのメンバーとしての地位を確立。2019年に香港で行なわれたワールドカップではケイリンで銀メダルを獲得するまでになった。その後の国際大会でもナショナルチームの一員として奮闘。東京五輪では、女子ケイリンとしては日本史上初のオリンピック出場枠1を確保した。しかしその座を小林優香に譲ることとなり、太田は自国開催の大舞台を補欠としてスタンドから観戦することになった。

「その時の光景は忘れられません。観客席から見ることで、外から選手を応援する悔しさをひしひしと感じました。これまでも頑張ってきたつもりですが、もっと頑張らなければと思い、もう一回、五輪を目指すことを決めたんです。

 それは厳しいナショナルチームのトレーニングをまた3年間続けることであり、自分の人生設計にも影響することなので覚悟が必要でした。でも東京で感じた悔しさを忘れないために観客席からの写真を自分のInstagramに載せて、ずっと見続けて頑張ってきたんです」

 自転車競技に邁進する一方、ガールズケイリンのいち選手でもあるため、回数は少ないながらも出走を重ねてきた。ガールズケイリンでは勝つだけでなく、勝ち方まで含めて、期待に応える場と捉えている。当然、日の丸を背負って世界で戦っているだけに、否応なしに注目度は上がり、勝利を期待される。だがそれはプレッシャーとはならない。

「負けてはいけないという自覚はありますが、一方で自転車も競技特性も違うので、私たちよりガールズケイリンを専門としている選手のほうが負けられないという思いが強いはずです。最近は国際大会でも応援してくれることが増えましたが、やはり日本国内では日本語で応援していただけるので楽しいですよ」

 そう言って笑顔を見せる太田。ガールズケイリンで走る彼女のレースを観に行けば、持ち味であるパワフルな追い上げと強気なレースをきっと目の当たりにできるはずだ。
明るい性格でコミュニケーション能力も高い太田 photo by Noto Sunao(a presto)明るい性格でコミュニケーション能力も高い太田 photo by Noto Sunao(a presto)この記事に関連する写真を見る

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