名古屋場所で「大関取り」に挑む3人の関脇。錣山親方が「ダントツにいい」という力士とは? (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 他では、新入幕の伯桜鵬、豪ノ山、湘南乃海の3人もそれぞれ個性を発揮しています。所要3場所で新入幕を果たした19歳の伯桜鵬が話題となっていますが、とりわけ目を引く相撲を見せているのは、25歳の豪ノ山です。

 元大関・豪栄道の武隈親方が昨年興した武隈部屋に移籍してから、メキメキと力を発揮。今場所は先にも触れた大栄翔と同じく、相撲に迷いがありません。

「押すしかない」という気持ちが前面に出ていて、突き押し相撲に徹底しているところがいいですね。期待の力士のひとりです。

 湘南乃海も楽しみな存在です。中学を卒業して高田川部屋に入門した、いわゆる"叩き上げ"。多少時間はかかりましたが、10年目にして幕内の座をつかみました。

 身長193cm、体重186kgという恵まれた体格の持ち主。その武器をさらに生かしていくためには、前傾姿勢を保つことが大切かと思います。

 最後になりますが、錣山部屋は昨年の名古屋場所から、宿舎を愛知県東海市に移転しました。朝稽古の見学は一般のファンの方にも開放していて、多くの方々に足を運んでいただいています。

 場所前には、若元春、豊昇龍の両関脇が出稽古に来てくれて、私の部屋の阿炎と稽古をするシーンもありました。そういうなかで、みなさんから直接いただいた励ましは、部屋の力士たちにとって、大きな力になったことと思います。

 何はともあれ、熱い名古屋場所。後半戦の戦いからも目が離せません。

錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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