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スキージャンプの小林陵侑が取り戻した強さ。スーツのルール変更に翻弄されても五輪王者の力を発揮 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by MATSUO.K/AFLO SPORT

 そんな小林は2日目の試合では、初日の勝利を自信に変える強さを見せた。この日は向かい風基調の条件だったが、1本目の途中から徐々に弱まってきて、追い風に変わるタイミングもある難しい条件の試合。「多少力みがあった」と話す1本目は、弱い向かい風のなかで129m。1位のシュテファン・クラフト(オーストリア)には17.9点差の11位という発進になった。

 作山コーチは「助走姿勢を作りすぎた感じもあって、助走路の角度が変わるR部分で少し突っかかって姿勢が低くなり、ポジションが前気味になったまま飛び出した感じでした。それを指摘したら、本人も『その可能性はあります』と答えていて、2本目はそれを頭のなかでうまく修正できたのだと思います」と説明する。

 その2本目は、弱い追い風でもジャンプ台にしっかりと力を伝えたスムーズな飛び出しで、ヒルサイズ(137m)超えの137.5mまで距離を伸ばした。

「2本目は本当に飛び出したあとも空中でしっかり力を伝えきれている力強さもあって。昨日の2本目よりもパフォーマンスはメチャクチャ高いジャンプで、コーチボックスにいた他の国のコーチもビックリしていました」(作山コーチ)

1本目1位だった今季2勝のクラフトと2位で今季5勝、ジャンプ週間総合優勝のハルヴォル・アイネル・グラネル(ノルウェー)はしっかり飛んで順位を維持するなか、3位にジャンプアップし強さを見せた小林。

「1本目は飛びに行ってしまったというのが終わった瞬間にわかった。シーズン前半はいろいろ厳しかったので、そこまでわからなかったですが、今はけっこうわかるようになりました。まだ確率はあまりよくないので、これから去年の状態に近づけていければと思います」(小林)

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