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初場所で錣山親方が注目しているのは、愛弟子・阿炎のライバルと35歳のベテラン力士

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

元寺尾・錣山親方の『鉄人』解説
~2023年初場所編

元関脇・寺尾こと錣山(しころやま)親方が、本場所の見どころや話題の力士について分析する隔月連載。今回は、親方の愛弟子となる阿炎関の、昨年の九州場所(11月場所)での幕内初優勝を振り返りつつ、1月8日から始まった初場所(1月場所)での活躍が期待される力士をピックアップしてもらった――。

昨年の九州場所で幕内初優勝を飾った阿炎昨年の九州場所で幕内初優勝を飾った阿炎この記事に関連する写真を見る 遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。本年も、私、錣山の「鉄人解説」をよろしくお願いいたします。

 1月8日から始まった大相撲初場所は、「次期・大関候補」と目されている関脇・豊昇龍、平幕(前頭3枚目)の阿炎らが好スタートをきりました。

 阿炎は私の弟子ですが、おかげさまで昨年の九州場所(11月場所)で幕内初優勝を飾ることができました。3年前には新型コロナウイルス感染防止におけるガイドライン違反で出場停止処分を受けたにもかかわらず、以降も変わりなく応援してくださっているファンのみなさまには感謝しかありません。

 阿炎自身、「みなさんに支えられていた」ということを改めて理解したようです。"災い転じて福となす"ではありませんが、彼が苦労を経験したことは本当によかったと思っています。

 阿炎が優勝を決めた時、私は東京の病院に入院していました。先場所、この連載コラムをお休みさせていただいたのも、それが理由です。

 それはともかく、同場所の千秋楽、私は病室で一人きりでテレビを見ていました。取組が進むにつれて、もう心臓がバクバクしてきて......。そして迎えた優勝の瞬間、ふだんなら部屋の誰かがそばにいて、喜びを分かち合うこともできたのでしょうが、それもできないなか、何か抱きつくものがほしかった私は、病室のビニール製の間仕切りを握り締めていました(苦笑)。

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