Mリーグ今季MVP瑞原明奈、強さの秘密。「脳内のチームメイトから『鳴け!』って言われる」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

---- ほかにもありますか?

「門前(鳴いていない状態)にこだわりすぎるというのもよくないところ。門前にして高打点を狙いたくなるんですけど、『やっぱりここを鳴かないとアガりは厳しいよね』という牌が出た時に、脳内でみんなが『鳴け!』って言うから鳴いたり。その声を無視することもあるんですけど(笑)。脳内チームメイト3人から同時に言われると『わかったよ、鳴くよ』ってなります(笑)」

---- その取捨選択が今年は抜群にいいわけですね。

「そうですね。自分のよくない癖が出そうな時に、雀風が違うチームメイトたちの声が聞こえて、バランスを取れるようになっているなと感じています」

---- 今季の対局で会心の一局があれば教えてください。

「いくつか思い浮かぶんですけど、去年の12月23日の対局ですかね」

 対局者はEX風林火山の二階堂瑠美選手(日本プロ麻雀連盟)、セガサミーフェニックスの近藤誠一選手(最高位戦日本プロ麻雀協会)、渋谷ABEMASの多井隆晴選手(RMU)。オーラス開始時の展望状況は、多井選手が43600点、近藤選手が27100点、瑞原選手が15500点、二階堂選手が13800点。瑞原選手は親番を連荘できれば点数を上乗せできる反面、テンパイノーテンだと二階堂選手にまくられて4着転落の可能性もあるなか、勝負はスタートした。

---- オーラスは2着目の近藤選手が役牌をポンして仕掛けてきましたよね。

「そのすぐあとに近藤選手のロン牌の3ピンを持ってきちゃって。3ピンは自分の手牌では使えなかったんですけど、手牌にとどめて形を崩して、最終的にテンパイできたというのがあって。

 私はいろいろ考えはするけれど、ベースが直線的なタイプなんですね。少し前までなら『この牌を止めたところで、連荘ができなくなるから押すしかないだろう』と考えていたと思うんです。でも、3ピンの危険度だったり、まわりの状況だったりを考えて止めて。以前までよりも視野を広く、冷静に見られるようになっているかなと感じた一局でしたね」

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