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エース・小林陵侑が語るスキージャンプと究極の夢。「勝ち続けることが難しい競技。それを知ってほしい思いもあった」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 國政 崇●撮影 photo by Kunimasa Takashi

 その勢いそのままに臨んだ2019~2020年は、チームのコーチが変わったなかでも3勝して2位2回、3位3回で総合3位。咋シーズンは3勝と2位2回で総合4位とトップレベルは維持したものの、納得はできなかった。

「(2018~2019シーズンにW杯で)総合優勝したことで、ジャンプという競技を知らなかった人まで注目してくれたと思うし、やっぱり1番は獲りたかったです。でも、ジャンプは50人のなかでひとりしか勝てないし、勝ち続けることが難しい競技。それを知って欲しいという思いもありました。

 ただ、そういうなかで、勝てないことよりもいいジャンプをできないことにモヤモヤしていました。シーズン30戦くらいのなかで3勝するのもすごいとは思うし、勝った瞬間はうれしいけど、毎週試合があるので、そこで満足していられないじゃないですか。継続できてこそ本当の強さだと思うから、総合優勝というのは複合の渡部暁斗さんが言うようにすごいと思います。確かに五輪で勝つこともすごいことですが、"ずっと強くて、ずっと楽しい"というのを求めたいなと思います」

 毎年のように身体の状態は変わり、道具も変化していく。「総合優勝の翌シーズンが、一番ジャンプが狂っていたと思います。それはたぶん、自分の求めているパフォーマンスが他の人より高くなっていたから、空回りした部分もあったと思います。自分のやりたいパフォーマンスができないもどかしさはあったけど、求めているものが高すぎるというのもわかっていたので、自信をなくすまではなかったですね」

 だだ、昨シーズンも感覚がブレたままだと感じたことで、この夏は意識を変えた。自分の感覚を求めるだけではダメだと思い、考え方を一度リセットして、他の選手たちの映像を見るようにして、助走の滑り出しの感覚から踏切の感覚、空中の感覚をトータルでイメージするようにした。

 その結果が9月末から2試合出たサマーGPの2位と1位につながった。なかでも勝利した最終戦は、2本ともトップで2位に24.1点差をつける勝利。帰国してからの札幌3連戦でもすべて圧勝と好調だ。 

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