2021.12.01

高梨沙羅が見つけた「こうすればいいんだ」という感覚。迷いもなく「こんなシーズンインは初めて」と北京五輪に向けて自身に期待

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋茂夫●撮影 photo by Takahashi Shigeo

 W杯10シーズンで勝利数60回と表彰台109回の、男女を通じて歴代最多記録を樹立している高梨沙羅(クラレ)。五輪に関しては、初出場の2014年ソチ大会で4位、2018年平昌大会では3位と、目標としていた「金メダル」に手は届いていない。今シーズンは、2月の北京大会で3度目の正直となる夢の実現へ向けて新シーズンのスタートを切った。

10月、札幌で今シーズンについて語ってくれた高梨沙羅選手10月、札幌で今シーズンについて語ってくれた高梨沙羅選手  昨季、5回目の挑戦だった世界選手権で僅差ながら金メダルを逃した高梨は、五輪や世界選手権のビッグゲームで優勝する難しさをこう吐露していた。

「自分の中では五輪で結果を出すことは、今まで女子ジャンプを切り拓いてきてくれた先輩たちや、支えてくれた人たちへの恩返しにもなると思うので、そういう大きい大会で優勝してメダル級の恩返しをしたいと常々思っています。

 五輪だと4年間苦しい思いをして、いろんなことを削って捧げてきたものが、10秒程度が2本の20秒で決まってしまう。そう考えるとすごい競技ですよね。求められているのは結果なので、それに合わせる能力を鍛えなければいけないけど、『じゃあどうしたらいいんだ?』となると難しくて......。アベレージを上げていくしかないと思いますが、『上げきって挑んでもダメな時もあったよな』と考えると、もっと違う何かが必要なんだと思います」

 それでも確かな手ごたえを得てシーズンを終えた。その背景には、2018年平昌五輪で3位に終わったあと、自分のジャンプをゼロから見直そうと、滑り出しから改良に取り組んだことがある。

 平昌五輪後のW杯2シーズンは1勝ずつで総合も4位と伸び悩んだが、昨シーズンの中盤からは滑り出しから踏切までがひとつにつながり、ジャンプ台にパワーが伝わる飛び出しができるようになった。