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高梨沙羅が見つけた「こうすればいいんだ」という感覚。迷いもなく「こんなシーズンインは初めて」と北京五輪に向けて自身に期待 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋茂夫●撮影 photo by Takahashi Shigeo

 世界選手権のノーマルヒルは着地が若干乱れてその差で敗れたが、北京五輪に向けての最後の課題が明確になった。

「テイクオフまでは目指していたものが形になり始めましたが、空中はまだ手つかずです。いい風の条件なら何も考えずに着地までいけますが、追い風などが吹く難しい条件に対応するスキルがまだできていません。これからは空中を意識したトレーニングにシフトできるようにしたいです」

 その課題克服を最大の目的として臨んだ、今年7月からのサマーグランプリでは、7戦中4戦に出場。1位1回、2位2回、3位1回で総合2位という結果を残した。そのうち3試合では飛型点で18点(20点満点)を出すジャッジもいる成果を見せた。

「試合の中でもとてもいい感覚で自分のものにすることができたかなと思います。空中の部分でも安定して飛べているので、着地でもスムーズにテレマークを入れられていました。だけど、冬になると助走路のレールの感覚も変わってくるので、もう一度助走のアプローチからの滑りも意識しながら、テレマーク姿勢の部分を重点的にやっていこうかなと思います。特に得点を争うという面では、飛距離がもっと伸びてもテレマークを入れられるようにしなければいけない。その練習もやっていかなければと思っています」

 10年以上も世界のトップで戦い続けてきた高梨が、ジャンプをしていて一番楽しいと思う時。それはいろいろ試している中で、うまく自分のジャンプにハマったと感じる瞬間だという。

「それを最近感じたのは、10月22日に札幌で開催された全日本選手権の最初のノーマルヒルの試合中でした。飛び出した後の空中で『ああ、こうすればいいんだ』というのが見つかったんです。それが2日後のラージヒルの勝利や、1週間後のUHB杯のヒルサイズ近くまで飛べたジャンプを2本そろえた優勝につながりました。今まで、この時期の札幌3連戦では、どんなに調子がよくても3冠はできなかったんです。今回安定して3勝という結果を残せたのは、試合中でもいろいろ試していることが、うまくハマってラージヒルにつなげられたというのが大きいですね」

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