エース・小林陵侑が語るスキージャンプと究極の夢。「勝ち続けることが難しい競技。それを知ってほしい思いもあった」 (3ページ目)
そんな小林にとって五輪は、小さい頃から見ている特別な大会だ。
「W杯で勝つこともすごくうれしいけど、多分五輪でメダルを獲るのもすごくうれしいでしょうね。めちゃくちゃいいパフォーマンスをして、めちゃくちゃ飛べたら楽しいと思います。でもその楽しさって一瞬なので、また何回も経験したいと思うはず。だから勝ったとしても、それで『自分がすごくなった』とは思わないと思います。
ただ、五輪で勝たないとみんな見てくれないじゃないですか。僕の記憶に残っている最初の五輪は2010年のバンクーバー大会で、すごい大会という印象とシモン・アマン(スイス)が勝ったこと(ノーマルヒルとラージヒルで金メダル)しか覚えていないんです。その頃はW杯があることも知らなくて、そういう僕みたいな子も多いと思います。
ジャンプをやりたい子供たちでも、『五輪はすごい大会なのは知っているけれど、見た内容は覚えてない』となる。でもそこで日本人がメダルを獲ったらきっと変りますし、これからのジャンプ界が盛り上がるかどうかもメダル次第だと思うし、自分が勝てる圏内にいるからこそやりたいですね」
北京五輪のジャンプ台は、完成後もコロナ禍でプレ大会が開催できず、どんなジャンプ台でどんな風が吹くかもわかっていない。12月4日からコンチネンタルカップは開催されるが、トップ選手はW杯とスケジュールが重なるため、出場できずぶっつけ本番になる。それでも小林は「調子が悪かったら不安になると思うけれど、今年は夏がよかったので、そんなに不安になっていません」と話す。
「雰囲気もわからないし、会場への移動もどうなるかわからないのでそういう怖さはありますね。でも、バスで3時間かかって寒いという過酷な移動はW杯開幕戦のニジニ・タギル(ロシア)で経験しているし、平昌でも寒いなか長時間待たされる経験もしているので。ただ五輪は、ふだんのW杯だったら中止になるような状態でも試合を続行させるから、いつもよりゲーム感があって楽しいです。
僕はスノーボートも好きだから、応援に行けたら楽しいし、久しぶりにボードの選手とも会えるのもうれしい。それに中国の大会は今までなかったから、食事もどんな中華料理を食べられるかな、と楽しみがたくさんあります」
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