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東京五輪での出番が消えた「幻のチアチーム」。出演が全カットされるまでの準備と解散までの記録 (4ページ目)

  • 森大樹●取材・文 text by Mori Daiki

 今回のチアチームは東京五輪だけの期間限定で、再結成して披露する予定もない。チームは日の目を見ることなく、ひっそりと解散したが、MEMEさんは今後も「こんな時代だからこそ、もっとエンタメを増やしていきたい」と話す。

「少しずつスポーツやライブも有観客になって、衣食住以外のことにも必要性を感じている人は多いと思います。エンタメには人を支える力があると思いますし、私たちにできるのはパフォーマンスしかないですから、できる限りそれを作る仕事をしていきたいと思っています。

 今は、確かに私たちは弱い立場かもしれませんが、結局、やり続けるしかないと思うんですね。絶やさないで作り続けつつ、今までなかったようなことにチャレンジしたり、才能を広げていったりすることが必要だと思います。

 たとえば歌舞伎などがそうだと思うのですが、いろいろな種類の物を作り続ける一方で、同時にメディアにも出ることで幅広い仕事をされています。違う畑ですがそうやって頑張っている先駆者がたくさんいます。」

 MEMEさんのように別に仕事を持ちつつ、週末を活動に充てるというチアパフォーマーは少なくない。日本においては、それ一本で生計を立てることが難しいのが実情である。今回の五輪についても報酬は出ていない。

 一方で高いプロ意識を持ち、いかに人を巻き込み盛り上げるかを追求する彼女たちのマインドには頭が下がる。自分のためだけでなく、他人のために時間と労力を惜しまない貢献意識はなかなか持てるものではない。心から思っていなければ表情を通して人に伝わってしまう。

 彼女たちの弾ける笑顔とすばらしいパフォーマンスを観られる機会が増え、スポーツもエンタメも思い切り楽しめる世界が再び訪れることを切に願うばかりだ。

(写真提供:MEMEさん)

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